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9月13日(日)のつぶやき

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 白 @46ch_ 00:24

@Twilight_Lily 逆に迷惑になる服装ってなんだろうかと考えてしまいました。紅白の西川さんの衣装は日常生活で迷惑かけますよね。

from Twitter for iPhone返信 リツイート お気に入り  白 @46ch_ 00:30

@Twilight_Lily 音が云々の観点は考えたことがありませんでした!とっても納得です。
マジレスですが、なるべく変に思われない服装となると、私が意識するのは①露出 ②色の数 ③模様 ④短い丈やフリフリなどシルエット的な違和感
あたりですね(私も似たような悩みがあるので)

from Twitter for iPhone返信 リツイート お気に入り  白 @46ch_ 00:40

全然運動してないのに全身が筋肉痛みたいに痛くて、原因が全くわからなくて、歩いても寝ても這っても痛くて、何もできないくらい動けなくて、すごく悲しい。
こんなに自分の体が使い物にならなくなると思っていなかった。痛くなる前に、もっとやるべきことをやっておけばよかった。

from Twitter for iPhone返信 リツイート お気に入り  白 @46ch_ 00:45

Twitterはできるよ指の関節や手首や掌は痛くないから

from Twitter for iPhone返信 リツイート お気に入り  白 @46ch_ 01:08

アクションの稽古行ったり、1日にバイト2つしたり、12時間以上働いたり、稽古の帰りに友達の飲みに合流したり、病院行ってからサークルに顔出したりしていたときのことが信じられない。今は絶対できない。というかまず一人暮らしが無理。

from Twitter for iPhone返信 リツイート お気に入り

自作のフライヤーデザイン(+お遊び2)まとめました

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前々回の記事「芸術大学発の文芸誌「文芸ラジオ」のお話」で、自分が比較的真面目に美術をやっていた頃の作品を紹介したので(文芸ラジオの感想記事のはずなのに...)、ついでにデザインしたフライヤーなどもまとめて載せようかなと思います。
今見ると結構ひどいのもあったりしますがとりあえず全部載せます。

◆コム・ミュージアム(2013年)


大学に入学して最初にデザインしたもの。
当時所属していた団体のイベントが企画・運営していたイベントのフライヤーです。
名前だけじゃ何やってるイベントなのか全然わからないので、できるだけ内容が伝わるよう工夫した記憶があります。
結局採用されなかったのですが理由はよくわかんなかったので書きません(クオリティが低くて落とされたのではなくむしろその逆でした)。
今見たらすっごく目がチカチカするなー。
そういえばこのときは、色が多くてがちゃがちゃしてるのが好みでした。
6%DOKIDOKIとか、ファンタジスタ歌磨呂さんとか、紅林大空ちゃんとか。

◆ドローイング展(2014年)


これもごちゃごちゃ...。
コム・ミュージアムと同じ団体でやった展示のフライヤーです。
といっても主催は団体ですが企画・作品集め・搬入搬出・フライヤー作成・宣伝などほぼ1人でやりました。
「こういった展示をしたいのでこのスペースを貸してほしい」と会場に頼んだのではなく、逆に
「このスペースに何もないから人を呼ぶために何かやってほしい」と会場側から頼まれて、急遽企画しました。
ドローイングとは落書きのことです。
「額縁に入ったキャンバスを傾かないようまっすぐに壁に飾るだけが展示じゃないよ、それ以外の方法もあるんだよ」
というのを多方面にアピールしたかったのと、
展示というものに興味はあるけど敷居が高くてなかなか参加する勇気がないという人が周りにいたために、
展示作品をドローイングにすることにより、展示の敷居を低くしました。

こちらが実際の会場の様子です。
上半分が全て私の描いたもの、下半分が友達のものです。
ペラペラの紙に描かれたドローイングを壁に直接マスキングテープで貼るというかたちをとり、
これ以外にも部屋中の壁を全部ドローイングで埋め尽くしました。
大変でしたが、搬入するのも見るのもとても楽しい展示だったことを覚えています。

◆コルセットとイラスト展(2014年)


私は参加していませんが母親が参加しています。母の依頼で作りました。
おそらく某社会現象を起こしたロボットアニメの影響で、私は中学生の頃からずっと、
文字はデカければデカいほどかっこいいという可哀想すぎる勘違いをしていたのですが(ドローイング展なんて特にそうですね)、
これをデザインしていて、
「あれ、もっと文字小さいほうが良い...?あれ?もっともっと小さくてもよかったりする???ん?もしかして小さいほうが素敵?」
と気付くことができました。
これはフライヤーではなく葉書サイズのDMで、大通情報ステーションやギャラリー犬養さんに置いていただきました。
画面中央のマネキンが着ているものはコルセットも含め全て母の作品です。コルセットには勿論きちんとボーン入ってます。
母のブログはこちら→シロシタシマウマブログ
コルセットやドレスなど作品の写真が沢山載っています。

◆だからそっとしておいて展(2014年)


友達に誘われて参加させていただいた展示。
展示の内容に関しては前々回の記事「芸術大学発の文芸誌「文芸ラジオ」のお話」をご覧ください。
文字の大きさに関しては、コルセットとイラスト展で学んだことがわかりやすすぎるほど現れていますね。
これは文字を印刷した紙を実際に何枚か燃やして、気に入ったものを使いました。
なぜPhotoshopや絵の具などで燃えた風の加工をせず、実際に燃やすなんて危険な真似をしたのかというと...
アナログ特撮脳だったからです。
円谷特撮が好きすぎたからです。

◆芸工生の途中経過展(2014年)


2013年に所属していたところとは別の団体で企画した展示です。内容についてはフライヤーの説明文をご覧ください。
これはドローイング展での発想がヒントになっていますね。
とにかく「展示とはこうあるべき」みたいなのを壊したかったというか、新しい可能性を提示したかったのだと思います。
デザインの元ネタは、絵を描く人にとってはおなじみの、マルマンのスケッチブックです。
また、没になったデザインがこちら。

Twitterでの告知ツイート風にしました。
会議で両方のデザインを出したところ、多数決でスケッチブックのほうになりました。

◆おまけ ゴジラ対イリス(2014年)


特撮ならなんでも大好きの、とある先輩から教えていただいた遊び。
勝手にタイトルロゴを作って、他作品の怪獣同士を対決させたり、平成の作品に登場する怪獣をあえて昭和っぽくしたり...という、超楽しい暇つぶしです。
イリスがイソスっぽくなっちゃったのだけがちょっと残念。
ゲバ文字フォントGavadon Ultra-katakanaを使いました。両方フリーフォントです。

◆おまけ マッコウクジラ対ダイオウイカ(2014年)


ゴジラ対イリスと同じ流れで作ったもの。このときものすごくクジラにはまっていて、4,000円するクジラ図鑑を買いました。
そしてなんとこれ、山形県上山市にある遊園地「リナワールド」の4Dシアターの現在の上映プログラムとまさかの被り。

私のマッコウ対ダイオウは、一度Twitterで公開したことがありますが、まさかリナワールドさんがそれを見ているなんてないと思うので普通に偶然なんですけど、
それよりも私はこれに感動したんですよ。
「マッコウクジラ対ダイオウイカ」→「ダイオウイカvsマッコウクジラ」
怪獣好きの皆さんでしたらもうお気づきですね。
そうです。対がvsに変わることにより、名前の順番も入れ替わったんです。
モスラ対ゴジラ(1964)→ゴジラvsモスラ(1992)と同じ現象が起きているんです!!!
素晴らしい偶然ですよね。さすがにこれはテンション上がりました。
ちなみに私は多分リナワールドでダイオウイカvsマッコウクジラを見ることはないと思うので、行かれた方は感想を教えてください。

◆まとめ

元々私はデザインを専攻しているわけではないので、(実は所属はデザイン学科ではなく美術科です)クオリティも作品数も全然...ですが
こうして振り返ってみると楽しいですね。
というかデザイン専攻じゃないからこそなんですよね。結構くだらないプライドかなとも思うんですけど、
ここの大学の人、特に私がいた団体の人達は、
「デザインは専門で勉強している人に任せればいいじゃん」とか
「自分達はデザイン専門に勉強してるから(あなたよりセンスあるから)こっちにやらせて」とか
そういうつまらない固定概念をもった人が多くて、やだなーと思って
専攻していなくたって作れるんだぞ!と頑張っていた記憶があります。
折角色々な学科の人が集まる団体なんだから、学科に縛られない考えでやったほうが楽しいのに...とも思いました。
確かに、彼らの言うことは間違ってはいません。
毎日沢山の量の課題をこなし、先生方に厳しい言葉で講評されながら一生懸命デザインの勉強をしている人のほうが良いものが作れるのは確かです。
でも、何がおかしいかって、私がこれを言われたのは大学に入学してまだ数ヶ月しか経ってない時期だったんです。
そして私は、高校のときからデザインの勉強をしていたし...
何が言いたいかというと、大学に入学して初めてデザインを専門的に学びはじめて数ヶ月の人と、
高校3年間でデザインを勉強した人の能力は、そんなに大差ないのでは?
ということです。
それなのに、自分達がデザイン学科に所属しているというだけで、私のやることを否定的な言い方をしてくる人達が当時は本当に本当に嫌いで、
負けてたまるか!という気持ちで作っていました。まぁ今見ると私のセンスもだめだめなんですけどね。
でも入学当初はとにかく、
「この大学、頭固くて変な固定概念でガチガチで、古臭くてつまらなくてダサい人多っ!」
て思っていました。みんな芸術勉強するのに、そんなにガチガチでどうするの...と。
いや、上から目線にも程があるし、価値観が合わないだけでそこまでボロクソに言うお前が一番視野の狭い人間だよ、と言われればそれまでなんですがね。
そしてそういったガチガチの人達を否定して終わりなんじゃなく、
こういうやり方もあるんですよ、いくらでもやりようがあるんですよというのを知ってほしい、という気持ちから、
ドローイング展や途中経過展が生まれたりしたので、結果的に良かったんですけどね。
賛同者や協力者も多数いたので、価値観の合わない人しかいなかったわけではないですし。

ダイオウイカのくだりで大分話が変な方向に行ってしまったので、それっぽいまとめを書いて軌道修正するつもりだったのですが、
何様のつもりだって感じの説教臭い話と愚痴ばっかりになってしまいましたね。
まぁ昔の作品を見て当時を振り返ってみたら、当時感じていたことを思い出したというだけなので
今はそこまで荒れていないです。自分に合わない場所からは距離をおいたほうがいいということも学びましたし。

ちなみに一番気に入っているのは、だからそっとしておいて展です。
その次がゴジラ対イソスです。


楽しみにしている2015年公開予定の特撮作品3つ

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今回はタイトルの通り、公開を今か今かと個人的に待ち構えている特撮作品を紹介します。
TV・映画両方です。
それでは早速、公開予定順に。

1. 映画「ラブ&ピース」〜鬼才・園子温 初の怪獣特撮!!〜
監督・脚本:園子温
特技監督:田口清隆
6/27(土)公開

→公式サイト

代表作は「愛のむきだし」「冷たい熱帯魚」「ヒミズ」など。
最近公開された話題作は「TOKYO TRIBE」「新宿スワン」。
更に現時点で公開が予定されているのは「リアル鬼ごっこ」「映画 みんな!エスパーだよ!」。
もの凄いペースで新作を発表し続けている、言わずと知れた鬼才・園子温監督の最新作です。
園監督の作品と言えば、エロ・グロの描写のあるものが多いことで知られていますが、
今回の作品は、そういった従来の「園子温ワールド」とは少しテイストの違った作品となっているそうです。
→「園子温監督の新作は特撮怪獣映画『ラブ&ピース』血が出ない&誰も死なない」-マイナビニュース
更に、この作品の原作となる、園監督書き下ろしの”絵本”が先月発売されたことからも、今作の作風が今までのものとは違っていることがうかがえます。
→「園子温監督が『ラブ&ピース』絵本を描き下ろし、私小説も収録」- CINRA.NET

そして今作最大の特徴は、園子温作品初の怪獣特撮パートがあり、更に特技監督をあの田口清隆監督が担当したという点です。
田口清隆監督って誰?と思った方。是非この記事を読んで、名前を覚えていってください!
田口清隆監督は、2012年に放送されていた深夜特撮番組「ウルトラゾーン」内で放映され、当時大反響を呼んだドラマ「THE LOVE」をはじめとする、
ウルトラゾーン内ドラマパート全ての監督をされた方です。
更には「怪奇大作戦 ミステリー・ファイル」や「ネオ・ウルトラQ」、「ウルトラマンギンガS」といった円谷プロの作品にも監督として参加されています。
そしてこの記事でも後ほど紹介します、今夏スタートの新作TVシリーズ「ウルトラマンX」ではついにメイン監督としての参加です。
また、関西を中心に活動されている、いわゆる「バカ映画祭り」をメインテーマとした団体「鉄ドン フールジャパン」では自主制作の怪獣映画などを発表していたり、「TNGパトレイバー」にも参加されていたりと、従来の意味での「特撮作品」としての仕事がとても多い方です。
田口監督の作られる特撮は、大人・子ども問わずファンの心をしっかりと抑えていて、技法・演出ともに「特撮」の持つ元来の魅力をとても大切にされています。それでいて、「新世紀の特撮作品」として新たな可能性を常に示してくれているため、個人的にはとても好きな監督です。

実は私は、去年二月に開催された「ゆうばりファンタスティック国際映画祭2014」でのトークイベントにて、登壇されていた田口監督ご本人の口から
「園子温監督の最新作は怪獣映画ではないが怪獣特撮パートがあるのでそちらも是非ご期待ください」
といった旨の発言を聞いていて、その瞬間からずっと楽しみに待っていました。
更にその直後、洋泉社より発売された書籍「別冊映画秘宝 新世紀怪獣映画読本」にて
「常に問題作を叩きつける/異才・園子温監督が/遂に怪獣映画へ参入!」
といった見出しで、「ラブ&ピース」という作品タイトルとともにインタビュー記事が掲載されたため、コアな特撮ファンの中では以前から楽しみにされていた方も多いのではないのでしょうか。
こちらの記事によると、「クライマックスで××が崩壊する」「巨大生物が××を破壊する」といった表現が複数回にわたり登場します。
巨大生物に破壊される何か、というと、メッセージ性的な意味で考えるとすれば初代「ゴジラ(1954)」で破壊され、公開当時は拍手喝采だったという国会議事堂を連想しますが、恐らくそんな誰もが思いつくようなモチーフではない気がしますし、何を破壊するにしてもこちらの全く想像のつかないような理由で破壊されるのだと思います。
こればかりはもう、全く予想がつきません。
大人しく公開を待って、スクリーンの前でただただあっけにとられるしか我々に残された道はないのです。

2. TVドラマ「ウルトラマンX」〜怪獣をまとうサイバーウルトラマン〜
監督:田口清隆、坂本浩一、辻本貴則、アベユーイチ、冨田卓
脚本:小林雄次、小林弘利、中野貴雄、黒沢久子、三好昭央、林壮太郎、柳井祥緒、内田裕基
(Wikipediaより)
7/14(日)18:00〜 TV東京系列にて放送開始
Youtube公式チャンネルにて無料配信開始

→公式サイト

田口清隆監督がついにメイン監督を務めることとなった新作ウルトラマンです。
先日開催された「東京おもちゃショー」内で制作発表がされました。
キービジュアルやXのデザインからも分かるとおり、今回は恐らくサイバー的世界観がテーマとなっています。

東映の仮面ライダーシリーズなどと比べると、モチーフや世界観設定に縛りを感じることが多いのがウルトラマンシリーズですが、
今回のサイバーな作風と「怪獣のアーマーをまとって戦う」といった設定は、そのような縛りを振り払い、
ウルトラマンとしての基本スタンスをしっかりと継承しながらも、「超カッコいいヒーロー」として2015年現在で通用する、新たな解釈を盛り込んだ新世紀のウルトラマンなのではないでしょうか。

また、第一話からの登場が発表されている新怪獣「デマーガ」。
Xのデザインが従来のウルトラマンとは一線を画した斬新なデザインであるのに対し、
デマーガは初代ウルトラマンやウルトラQなどに出ていても違和感のないくらい、昭和初期作品のファンも安心できる王道デザインです。
こういった点でのバランスのとりかたが非情に上手だと思いました。

更に、「サイバー怪獣のアーマーをまとう」といったまさかの設定。

こちらはサイバーゴモラのアーマーを装着した姿です(モンスアーマーというそうです)。
ここ数年のウルトラシリーズを観ていて感じたことなのですが、製作陣は
「正義側が怪獣の力を使って戦うという新たな可能性」
を数年にわたり模索してきたのではないか、と思います。
2008年に放送された「ウルトラギャラクシー大怪獣バトル」では、主人公はウルトラマンのようなヒーローには変身しません。人間の姿のまま戦います。
しかし、自分の身体で戦うのではなく、バトルナイザーという端末を使って、手持ちの怪獣 リトラ・ゴモラ・エレキングを敵と戦わせるのです。
この話のメインは変身ヒーローではなく、怪獣同士のバトルであるという点がTVシリーズの中ではとても異色でした。
そして2013年放送の「ウルトラマンギンガ」は、主人公がウルトラマンギンガに変身するほか、ウルトライブという能力を使って怪獣や宇宙人にも変身します。
いわゆる「闇堕ち・洗脳・暴走」ではなく、正義の意思をもったまま怪獣に変身し、悪を倒すために怪獣の力を使います。
更に2014年放送の「ウルトラマンギンガS」。こちらは前年のギンガの続編で、ウルトラマンビクトリーといった新ヒーローが登場します。
ビクトリーは、ウルトラマンの姿のまま自分の右腕だけを怪獣の身体に変身させ戦うといった、ウルトランスという能力をもっています。
バトルナイザー(怪獣を操る)→ウルトライブ(怪獣に変身する)→ウルトランス(身体の一部を怪獣化)
といった流れを経て、ひとつの終着点としてたどり着いたのが、モンスアーマー(サイバー化した怪獣を鎧としてまとう)といった表現なのではないでしょうか。
Q、マン、セブンと昭和作品から鑑賞を始め、成田亨さんについて熱く語るほど昭和初期作品への思い入れの強い私ですが、
だからこそ、多くの新たな挑戦の見られるウルトラマンXが今からとても楽しみです。
(関連記事:「成田亨 美術/特撮/怪獣」青森県立美術館に行って来た。)

3. 映画「実写版 進撃の巨人」
原作:諫山創
監督:樋口真嗣
特技監督:尾上克郎
8/1(土)公開

→公式サイト

この作品に関しては、数えきれないほどの不安点があることは多くの人が知っていると思います。
「進撃の巨人 実写」などのキーワードで検索すると、不安を嘆くファンの声が沢山ヒットするので、あえてそのことについてこの記事で触れることはしません。
そしてこれを言うととても反感を買ってしまいそうですが、私は原作の1巻を読んだことがあるだけで、この作品に関してはとても原作ファンとは言えないのです。
そのために「人気コンテンツの実写版」としてでなく、「特撮映画」としてこの映画を楽しみにしているので、
この映画を見に行く予定の人の中ではかなりの少数派でしょうし、そんなふざけた見方認めないと怒る人も少なくないと思います。
しかし今回参加される樋口真嗣監督は、特撮ファンの中ではかなり名の知れた方です。
平成ガメラ三部作では特技監督を務め、来年公開予定の日本版「ゴジラ」新作では庵野秀明監督と連名で監督をすることが発表されています。
そして庵野監督とともに「日本の伝統文化である特撮」を愛し、過去の作品を大事に保護する活動を続けていて、その活動の一環として短編映画「巨神兵東京に現る」を制作されました。
そんな内側からも外側からも特撮を愛する樋口真嗣監督が手がける「実写版進撃の巨人」、劇場のスクリーンで大暴れする巨人や崩れ落ちる瓦礫などといった「怪獣映画のお約束」と共通する要素をもつ映像は、迫力、そして「架空の存在を嘘と思わせない力」がないわけがないのです。
そういった意味で、私はこの作品を制作発表時からずっと楽しみにしていますし、劇場へ見に行く予定です。
また、あまり知られていませんが、樋口真嗣監督は「ふしぎの海のナディア」「新世紀エヴァンゲリオン」「トップをねらえ2!」「キルラキル」などといった多くのアニメーション作品にも参加されています。
あのエヴァの主人公、碇シンジの名前の由来でもあるのです。
つまり、ここまで多くのアニメに参加されている樋口真嗣監督ですから、勿論アニメ・漫画のことをよくわかっていない残念な監督、などでは決してないのです。
アニメ・漫画の実写化の失敗例でたまにある「監督が原作への思い入れがない」といった心配点は、今回は全くないと言っていいのです。

以上のような理由のため、
新情報が出るたびに不安の声が多く上がるこの作品ですが、私はずっと楽しみに待ち続けています。


以上、楽しみにしている2015年公開予定の特撮作品3つの紹介でした。
一時期は存在そのものがなくなってしまうのではないかと心配されていた特撮ですが、
ここ数年、じわじわとまた復活の兆しが見えてきています。
この調子で、ゆっくり時間をかけてでいいので、徐々に作品や特撮ファンが増えていかないかなぁと思います。

女児アニメ「プリパラ」にハマってしまった人の話

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ご無沙汰しています。

久々の更新、何を書こうかなーと色々考えていました。
私自身はこの数ヶ月の空白期間、何をしていたのかというとほとんど何もしていませんでした。

久々にブログを更新することに関して。
今まで映像作品に関する記事を書いていたので、中学生の頃から大好きだった伊坂幸太郎さんの小説「グラスホッパー」が映画化されたのでワクワクしながら見に行ったらひどい出来だったという愚痴をブログに書こうと思っていたのですが、
復帰一発目が愚痴はなぁ、ちょっとなぁと考え直して、ポジティブな記事、今すきなものに関することを書くことにしました。

◆「プリパラ」アニメのCGがすごい

私が今熱中しているのは、タイトルにもある通り、
女児アニメ、そして女児向けアーケードゲームである
「プリパラ」
です。
大学の先輩数人(全員成人男性)の影響で知り、いつの間にか毎週アニメをチェックし、ゲーセンで女児に混ざってプレイするまでになってしまいました。


しかし自分で記事を書くと決めておいてなんですが、プリパラはあまりにもコンテンツとして魅力がありすぎるあまり、語る方向が多すぎてとても1つの記事では全ての魅力を伝えきれません。
なので今回は、自分がアニメ「プリパラ」にハマった最大の原因である、CGについて紹介します。

ちなみに先程も触れましたが、プリパラはアニメとアーケードゲームがあります。
このブログの読者の方は、仮面ライダーのガンバライジングを想像していただければわかりやすいかと思います。
プリパラの場合は、ゲームの販促が目的でアニメをやっているので、仮面ライダーとは逆なのですが関係性は似たような感じです。

先程の画像を見てお分かりかとは思いますが、プリパラはアイドルアニメです。
小・中学生の女の子達が「神アイドル」を目指して切磋琢磨する話です。
そのためアニメ本編では、毎回必ずアイドルの女の子達が歌って踊るライブパートがあります。
そのCGがとにかくすごい。





静止画では伝わりませんが、これが動いているところが本当にすごいんです。
まずプリパラは現実のアイドルでは考えられないぐらい振り付けが激しいのですが、それがCGでものすごいぬるぬる動く。これでもかというくらい踊ります。
その動きに合わせて女の子達の髪もスカートの裾も常にフワフワ揺れる。まばたきなどの細かい表情の動きもあります。
更にカメラワークも容赦なく動きます。

こればかりはもう、言葉で説明するには限界があるので実際の映像を見てくださいとしか言えないです...。
参考までに、おすすめの曲をいくつか載せようと思って色々見返してみたら、全部良くてどれを紹介すればいいのかわからなくなったレベルでどの曲の映像も素晴らしいんです。
その中であえて選ぶとしたら、画像にも写っているピンクのロングヘアの女の子、北条そふぃちゃんソロ曲の
「太陽の太陽のflare sherbet」です。
この曲は髪や服の揺れやカメラワークのスゴさがわかりやすく伝わると思います。

アニメを普段あまり見ない私が、大学の先輩の影響でなんとなく第一話を見て、全話見ることを決めた理由はこのCGです。
私は映像作品などを見るときに、どうしても無意識のうちに作り手の努力やこだわりなどを求めてしまうのですが(東宝特撮が好きだから)、プリパラのCGはまさにそれです。
ターゲットである女児に興味をもってもらおう、良いものを作ろうというこだわりを感じました。私は女児じゃないのでこれがどれくらい本来のターゲットに受けているのかはわかりませんが、見ていてすごくワクワクする映像で、何度でも見たいという気持ちにはなりました。

そんなプリパラのライブシーンで、作り手のこだわりが静止画でも簡単にわかるのがこのカットです。

二人の右手と首の角度がちょっと違います。
金髪の子がみれぃちゃん、紫髪の子がらぁらちゃんという名前で、らぁらちゃんが主人公なのですが、
らぁらちゃんはアニメの第一話で初めてアイドルデビューしました。
それに対しみれぃちゃんは、ずっと前から練習とソロライブを繰り返してきたのでライブに慣れています。
また、みれぃちゃんは普段は学校で風紀委員長をやっていて、更に成績優秀で計算が得意なので、
アイドルとしてどう振る舞えば人気が出るのかということを計算していて、アイドルとして人前に出るときはポップなキャラクターを演じています(こう書くとちょっと性格が悪い子に思えてしまいますが、本編では全くそう見えないところがプリパラのすごいところです)。

このカットでは、アイドルデビューしたばかりでまだパフォーマンスがぎこちないらぁらちゃんと、
キャラクターを演じることとライブ、そしてアイドルとしての振る舞いに慣れているみれぃちゃんの違いがとてもわかりやすく出ていると思います。


ということで、今回はアニメ「プリパラ」のビジュアル面での魅力を主に紹介しました。
続きはまたいずれ書きたいですが、自分の中でジャンルが偏りすぎないようにしたいので、次回の更新はまた別の話題の記事を書きます。


余談ですが、復帰と同時にブログの名前とTwitterのアカウントを変えました。
ろ紙という名前で今後はやっていきます。名前がコロコロ変わってすみません。よろしくお願いします。



突然だけどロボコンがうちに来た

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近所のホビーオフで平成版ロボコンのおもちゃを買いました。
アンテナ欠け、電池蓋のネジ1本紛失、その他塗装ハゲなどあって箱付き324円。
ものによりますが、中古のおもちゃはある程度の使用感があるほうが好きなので問題なし。
燃えろ!!ロボコン放送当時自分は幼稚園児で、時々見ていたので懐かしくなって買いました。

玩具レビューというほどのものではないですが、写真を撮ったので載せます。

◆バンダイ『DXスロットロイド1 ロボコン』 レビューもどき


ロボコンカーに変形した状態。腕も動かせます。
かわいいしコンパクトなので、この状態が結構お気に入り。


後ろ姿。別売りのガンツ先生と接続して採点遊びができるそうです。
数年前実写化したあの漫画の元ネタは彼ですよね。高校生くらいのときにある日気付きました。


カバー(設定上はエプロンというらしいです。ロボコンはああ見えてお手伝いロボットなので)を上に上げた状態。
電池を入れると、この画面とボタンでミニゲームができるそうです。ガンツ先生の採点もここに表示されるらしく。
地味に作り込みが細かい。


両者にはなんの関係もありませんが、先日お迎えしたトランスフォーマーG1サウンドウェーブ復刻版と一緒に。
なんか段々玩具ブログっぽくなってきた気がする

◆ロボコンと石ノ森先生。コンテンツと表現者

この記事を書く上でちょっと調べていてわかったのですが、ロボコンのデザインをされた石ノ森先生は、今回私が買った玩具では欠けている、アンテナをつけることに抵抗があったそうです。
しかし、TV制作側からどうしてもと言われ、つけさせられたとかなんとか。
ということは私の持っているロボコンは、原作者の理想に近い姿をしているということなのかも...。
しかもこのエピソード、成田亨先生がウルトラマンのカラータイマーや覗き穴をとても嫌がっていたという有名な話にそっくりですね。

お金のかかる特撮ですし、複数の会社が携わる、失敗が許されないビジネスとしてキャラクターという商品を扱っていく以上、どうしても作家個人としては我慢しないといけないこともあるということなのだと思います。
本来自己表現が目的である"作家"と、商業的な目的のある"コンテンツ"が同居することは、簡単なように見えて実はとても難しいことです。
が、この話は長くなりそうなので、またの機会に改めて書こうと思います。

◆私とロボコン

ということで私自身とロボコンに関しての話をいくつか。
といっても見ていたのは幼稚園の頃で、しかも毎週欠かさず見ていたわけでもなく。
今好きなウルトラシリーズや東宝作品ほど濃く語れる知識もエピソードもないのですが。
それでも私にとってロボコンは、中古ショップで見かけたら買って、写真を撮ってブログを書いてしまうくらいの愛着はあります。

なぜかというと、今まで意識していなかったのですが、実は燃えろ!!ロボコンは、私が人生で初めて見た特撮作品なのです。
いやまさか、と思って放送年などを調べましたが、間違いなくそうです。
ちなみに私は、おそらく特撮好きの大人の中では珍しいほうで、幼少期にリアルタイムでヒーローものや怪獣映画を見て育ったわけではなく、それも親に禁止されていたとか学校で馬鹿にされたとかでもなく、単純に興味がなかったのです。ハム太郎だけ見て、GMKが始まる前に帰る小学生でした。当時からゴジラ大好きだったお父さんをがっかりさせる親不孝者でした。
(じゃあなんで今そんなに特撮狂いなのかというと、その理由は以前書いたので気になる方はご覧ください。→特撮との出会い - 総天然色日記
その中で、なぜロボコンだけは見ていたのか明確な理由はわかりませんが。
しかし、燃えろ!!ロボコンは、私が本来の対象年齢のときにリアルタイムで見た、初めてであり、唯一の特撮作品であることは確かです。
全話観ていたわけでもなく、話の内容もほとんど忘れてしまった今でもロボコンというキャラクターが好きなのは、そういう理由です。

あと、ロボコンは単純に、見た目がかわいいです。
赤と黄というヒーローっぽい色の組み合わせでありながら可愛らしさのある顔に、丸みを帯びたフォルム。そして安定感と重みを感じさせる二等辺三角形に収まるシルエット。車輪でコロコロ移動するのもかわいい。一応男の子という設定ですがハートがついているのも良い。
線が少なくシンプルなデザインですが、遠くから見てもロボコンだとわかるのは、キャラクターデザインとしてとても優秀だからなのだと思います。

更に私は大学一年生の秋頃、ゼイラムやガメラ2や仮面ライダー鎧武や怪奇大作戦など、どちらかというと陰鬱で怖くて大人向けな作品ばかり連続で見すぎて(全部面白かったし全然嫌いじゃないのでそういう点では問題ないのですが)、純粋に明るい作品を心が欲していることに気がつき、燃えろ!!ロボコンの1話だけを見て心のバランスをとったことがあります。
そこでロボコンを選んだ理由は、やっぱり自分の原体験だからでしょうね。
そして燃えろ!!ロボコンは、怖い作品ばかり見た後でも、1話だけ見ればバランスを取り戻すのに十分すぎるくらい賑やかな作品でした。
以前地元の先輩が、
「俺は子どもの頃から特撮全般好きだったけどロボコンだけは朝からうるさすぎて無理だった」
と語っていた理由がわかった気がします。なぜ私は大丈夫だったんでしょうかね。自分自身がうるさい子どもだったからかな...。
まぁ、そういう作品なので、とにかく明るくて元気な作品が見たくなったときは是非燃えろ!!ロボコンをご覧になってください。ロビーナちゃん役の加藤夏希さんの可愛さもおすすめです。

そういえば、仮面ライダードライブの幹部ロイミュードの元ネタが1974年放送のがんばれ!!ロボコンの登場キャラクターでは?という噂も一時期聞きましたし、これを機に昭和版と平成版両方を見てみようかなという気持ちにもなりました。
東映特撮というとやはり人型のヒーローのほうが人気ですが、実は結構かわいいキャラクターも多いんですよね。
メタルヒーローシリーズの最後のほうとか、不思議コメディーシリーズとか。
と書いておきながら実はどっちも見ていなかったり。
メルヘン系の特撮(良い表現が見つからない)、子どもの頃好きだった!という方、あんまり見たことないのですが、どうでしょう。この記事読んでくださっている中にいらっしゃったりしないですかね。

私は元々愛着があったロボコン、この記事をここまで書いてもっと愛着が湧いてきました。
この記事の最初から読み返すと、書き進めるにつれてロボコン愛がどんどん大きくなっているのがバレバレで、かなり恥ずかしいです。
おもちゃは、明日にでも電池を買ってきて、手探りで色々遊んでみようと思います(説明書が欠品で)。
燃えろ!!ロボコンが自分にとっての特撮の原体験だということが、玩具を購入して記事を書くことになって初めてわかったのが、今日一番嬉しかったことです。



スター・ウォーズという祭りを味わった

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ついに公開された、「スター・ウォーズ エピソード7 フォースの覚醒」。

既に二回観に行きました。3D日本語吹き替え版と2D字幕版を一回ずつ。三回目、4DXに行く予定もあります。チケット予約済み。
公開から一週間が経ちましたが、私は未だに余韻が抜けず、今のところ毎日ネット上で他の人の感想や考察を読んだりしています。
別の用事で立ち寄ったコンビニではスター・ウォーズのビックリマンチョコを見つけてしまい、気がついたら買っていました。しかもいきなり金ピカ。


ここ数週間はTVやラジオをつけていたら1日最低1回は必ずあのメインテーマと、スター・ウォーズという単語を耳にします。
ひとつの作品に世界中で多くの人が心を支配され、沢山のグッズが売れ、更に初回上映では本編前の広告や配給会社のロゴがカットされるという異例の措置が行われ、公開初日に劇場にメディアの取材が入るというお祭りは、なかなかないと思います。
私自身こういった経験は初めてでした。似たようなものだとヱヴァンゲリヲン新劇場版シリーズがありますが、あれはあくまで日本が中心でした。ブームの規模や、客層の幅広さもシリーズの持つ歴史の長さも、スター・ウォーズとエヴァではスケールが違います。どちらもとても良いものではありますがね。今思ったけど、スター・ウォーズとエヴァってどっちが先に完結するんだろう。

ということで、今回の記事は「私はスター・ウォーズという祭りをとことん楽しんだゼ!」という話です。映画のレビューとは少し違った方向性で書こうかと。エピソード7のネタバレもありません。



まず、私はつい2ヶ月前まで、スター・ウォーズに全く興味のない人間でした。
「スターウォーズ?なんか順番が違うやつで、ダースベイダーが父親で、ヨーダっていう緑のおじいさんがいて、光る棒を振り回して、フォースっていう概念があって、新作が今度公開されるんでしょ?」
程度の認識でした。
それがどうして新作を初日に1人で観に行ってブログを書くまでになったのかというと、父による布教です。
そうですあの父です。私の父親です。
かつて断固として同時上映のゴジラを見ずにハム太郎だけを求める少女だった私が少し大人になった頃に初ゴジを見せ、見事に特撮の世界へ引きずり込んでくれたあの父です。
(詳しくはこちら→特撮との出会い - 総天然色日記)
元々父はリアルタイムでシリーズを順番に見ていた世代の人間で、スター・ウォーズへの思い入れがとても強い人です。
そんな父に「今度新作やるから最初から(もちろん最初とは4のこと)見てみない?」と言われたら、まぁ、この機会に見るか。ってなりますし、勿論ハマりましたよ。理由なんてなく、ただとにかく楽しいし、美しい。そう思いました。
スター・ウォーズって多分、見始めるまでは興味なかったけど、機会を与えられて見てみたら面白かった!って人はそこそこいるんじゃないでしょうか。自分はそれでした。

おそらくスター・ウォーズって、作品としての決まり事が沢山あって、それを厳守した上でどこまでも大きなスケールで物語を展開しているというのが、面白い理由のうちのひとつとしてあるのだと思います。

また、私が普段好きなものって、ゴジラだったりウルトラマンだったり、コアなファンはいるけど人気としては二番手三番手(2015年現在の話)で、シリーズそのものの存続が危うくなっているもの、最新作の知名度がとても低いものが多く、いつも自分は「楽しいけど少しさみしい」という気持ちを抱えています。
逆に、近いジャンルの中でわりと知名度のあるマーベルヒーローや仮面ライダー、熱狂的なファンの多いパシリムなんかは、まぁ嫌いじゃないけど、自分にとってはなぜか大好きになれるほどのものではなくて(これがどうしてか未だにわからない)。
もしかして自分って、流行ってるもの、大衆的なものはそれだけで受け付けなくなってしまう相当ひねくれた中二病的性格なのか?と実はかなり悩んでいました。
そんな中で、世界中に幅広い年齢層のファンのいる、歴史の長いスター・ウォーズという作品を大好きになることができて、純粋な気持ちで祭りに参加できたことが、本当に嬉しい。ありがとうスター・ウォーズ。

あと、


こんなのも作りました。
今はもう終わっちゃったみたいなんですけど、ZOZOTOWNで買い物したらスターウォーズ仕様の段ボールが届くってやつで。

1人だったし初回上映じゃなかったのでさすがに劇場には持って行きませんでしたが。
こういうの作るだけでも、なんか"祭りに加われた感"が簡単に得られるってのもすごい。

作品が多いとか順番がよくわからないとかっていう理由で、新規のファンが付きづらいところはあると思います。
私的には、つい最近までは「公開順(456123)に見ろ!!!」だったのですが、スター・ウォーズって大体どれから見ても面白いことに気付いたので、もう好きな順番で見ればいいんじゃない、いきなり7からでもいいし、サイコロ振って適当に決めても良いし...と思っているくらいです。
まぁ勿論見ないという選択肢もありますけどね。コアな層がガチすぎて怖いとか、ありますよね。私も実際最初はそうだったのですが、見ているうちに自然と自分自身がガチ勢になっていく、そういう不思議な作品なのでその辺の心配もあまりいらないのですが...。

...と、自分をここまで熱狂的にさせてくれた「スター・ウォーズ」という祭り。これで、まだまだ終わらないというのがまたすごい。
2016年12月には、スピンオフ作品「ローグ・ワン」が公開予定です。監督はなんと、あのギャレス・エドワーズ。去年は「GODZILLA」で私たちに興奮と感動を与えれくれた彼。どんどん大作に携わっていきますね。
→【衝撃】スターウォーズスピンオフ映画「ローグワン」にサムライや座頭市も登場か / 世界中から期待の声 - バズプラスニュース



そういえばリンクを追加しました。Twitterで最近仲良くさせていただいている、いかびるでくんのブログです。特撮や映画やアニメの話題が中心になる予定だそうです。
彼の文章は独特な面白さがあるので、是非飛んでみてください。

パチ怪獣という、救いようのない文化

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「パチソン」という昭和の文化をご存知でしょうか。
パチンコの筐体音楽のことではなく、パチモン、バッタモンの曲のことです。
子ども向けアニメや特撮番組の主題歌のニセモノ音源をカセットテープなどに録音した状態で、商品として売られていたもののことです。
どうしてそんなことをするのかというと、まぁ説明するまでもありませんが、有名番組の名を借りて、無関係の個人が、できるだけ楽をしてお金を儲けるためですね。

例えば水木一郎さんや子門真人さんなど、本来の歌手が歌っているのではなく、売れないミュージシャンか暇な一般人のおっさんかわかりませんが、とにかく全く無関係の、歌唱の技術も微妙な人が歌っているものです。バックの演奏も、チューニングやリズムが微妙に狂っていたり、変なアレンジが入っていたりして、怪しさ満点です。
要するに今で言う「歌ってみた」の音源を本物だと偽って、無許可で販売していたわけですね(と書くと、歌い手のファンの方などに怒られそう)。無許可なので当然、番組制作側や本来の歌手の方には1銭も入りません。
実際に子ども時代にパチソンを"聴いてしまった"方の体験談などをネットで調べてみましたが、
「大好きな曲が聴ける!と思って自分のお小遣いで買ってワクワクして聴いてみたら、全然知らないおっさんの残念な歌声が流れてきてがっかりした」
という被害報告がそこそこ見つかりました。現代でも、似たような現象がありますよね。好きな歌手の曲を動画サイトで探して、再生してみたら素人の「歌ってみた」だった、というあるある現象にそっくりです(だからこういうことを書くと怒られる)。

このパチソンという文化、特に特撮マニアの中ではそこそこ知名度があります。中でも、スーパーロボットマッハバロンのパチソンは一部で"伝説"として語り継がれており、知っている人は知っている、みたいな存在になっています。気になる方は是非調べてみてください。
マッハバロンを知らない方は、是非、すぎうらよしひろ氏の歌う最強にカッコいい原曲を聴いてから、パチソンのほうを聴いてください。

しかしこのパチソン(「歌ってみた」文化など類似のものは現代にあるので、『お金を儲ける』目的で、『本物と偽って』販売しているものと今回は定義します)、著作権など厳しくなっている近年では存在自体ほとんど知られていません。著作権などがユルかった時代特有の文化なのでしょう。
実際、平成生まれの私は、特撮マニアの大人になるまでは、パチソンなんて全く知りませんでした。それこそ自分の生まれる前にかつて存在していたが今はもうない、伝説みたいになっています。こんな伝説いやだ...。



と、前置きが長くなってしまいましたが、今回のメインはパチソンではなく、タイトルにある通り、「パチ怪獣」です。
今と比べて色々とユルかった時代、そしておそらく第二次怪獣ブームによりキャラクターものが一気に世の中にあふれた時代、そのどさくさに紛れて、パチソンと一緒に生まれたのがパチ怪獣です。
怪獣というとやはりウルトラシリーズやゴジラなど、映像作品を想像しますが、パチ怪獣は基本的に駄菓子屋のトランプやカードなど、絵が多いです。
というのも、元々ウルトラシリーズなどの正規のグッズとして売られていたトランプなどのアイテムをパクって、それっぽいニセモノを勝手に作って子どもを騙して儲けようぜ!という経緯で生まれたためです。
さすがに、パクリ映画を作って儲けるのは手間もお金もかかりますし、何よりリスクが高すぎるし。

そしてパチ怪獣はパチソンとはまたちょっと違って、よりパクリ手のオリジナリティに溢れています。便乗パクリの癖に。
そこがまた魅力なんです。本来の制作会社の方や、本物だと思って買ったらニセモノでガッカリした当時の子どもにとっては、とてもそんなふうには思えないかもしれませんが。
しかしパチソンにも一定のファンがいるように、パチ怪獣にもカルト的な人気があります。
私の知っている中でその道のプロと思われるのは、パチモン怪獣図鑑というサイトの方と、あべとおる先生のTwitterです。
特に、パチモン怪獣図鑑さんのサイトの熱量は凄まじいです。私のパチ怪獣の知識の半分以上はこちらのサイトから学びました。



また、こんな恐ろしい本も出ています。

「目で見る駄菓子屋グッズ大図鑑DX〜パチ怪獣ブロマイドからガチャガチャまで〜」(扶桑社)
なんとこの本、気がついたらうちにありました。
元々私の家族に、私のように特撮には特化していませんが、昭和レトロが好きな者がいて、資料として手に入れたそうです。
ちなみに昭和レトロ好きな家族というのは、父や母などではなく妹のことです。高校生の妹です。多分これは中学生くらいのときに手に入れた本だと思います。
なんというか、この姉にしてこの妹...。

こちらの図鑑、中身はこんな感じです。

パチ怪獣のブロマイドが、会社ごとに(パチ怪獣はパチモンの癖にいっちょまえにいくつかのメーカーに分かれている)何ページにも渡って紹介されています。もう既にお腹いっぱい。

プラモデルなんかも載っています。
元々怪獣映画のブームに便乗して作られた日活の「大巨獣ガッパ」を更にパクった「かいじゅう子ガッパ」。もう意味がわからない。こわい。誰か助けて。



ということでなんとなく、パチ怪獣という文化のノリが皆さんも掴めてきた頃かと思います。
ここからが本番です。
入門にピッタリのパチ怪獣4体を紹介します。

1.わかりやすさが大事「がいこつバルタン」


まず最初に言っておくことがあります。
彼、バルタンのふりをしているけど、よく見ると身体はアントラーのトレースで、ハサミに隠れていますがアントラーの手が見えています。

がいこつという怖いモチーフと、バルタン星人のハサミがくっついてるからがいこつバルタン。また、一部では「ガルタン」とも呼ばれているとか。
名前と見た目が結び付きやすいので、初心者の方はまずはここからパチ怪獣の世界に入っていくと良いと思います。
こんなにわかりやすいキャラクターもなかなかいないですよね。やっぱりわかりやすさは大切です。問題はこいつが無許可のパチモンだということだ。


2.いや、どこが?「亡霊怪獣トーボーズ」


よくその見た目で亡霊怪獣を名乗ろうと思ったな。


3.パチ怪獣ならではの表現「水素獣エッチ」


水素獣エッチくん。パチ怪獣ならではのド直球かつ斜め上のネーミングです。
更に彼、怪獣らしからぬスラっとした脚を生やしながら、着ぐるみでは絶対に実現不可能なプロポーションをしているんですよね。
このデザインの怪獣は、おそらくこのトランプが売られていた時代の特撮技術では映像化不可能です。
時代の先を行っていた水素獣エッチ。
まぁ、たとえ再現する技術があったとしても、こんな胡散臭いデザインの怪獣、見たくないんだけど...。

と思ったら彼、なんと映像作品に出演している。
川崎実監督の「電エース」に登場しているらしいです。
えぇ、どうしよう、すっごい見たいけど、見たくない...。


4.これぞパチ怪獣「大怪獣ダイゴラス」


人気怪獣を堂々とパクる、しかもデザインの元ネタはウルトラセブンのエレキングでありながら、名前はどう考えても「ダイゴロウ対ゴリアス」。そして裏面の解説では堂々とテツゴラスと名乗る。ご丁寧にオリジナルの設定まで書いてあるけど、「からだがすべててつでできて」いて、「手がじしゃくの手でてつをすいつける。」なら、生活困らない?
このガバガバ感。
パチ怪獣のお手本のような存在。



以上です。全体的に解説は軽めにしておきました。パチ怪獣はその存在自体が闇が深すぎるし、ツッコミどころが多すぎて、真面目に解説していると気が狂うので。

そして今回紹介したものは、パチ怪獣の中ではどちらかというと有名どころかと思われます。パチ怪獣に有名も無名もない気もしますが...。
ちなみにパチモンが作られたのは怪獣だけでなく。パチ怪人や、パチヒーローも勿論います。
その中でおそらく一番有名なのが、怪傑透明ウルトラエース。先程紹介しました「パチモン怪獣図鑑」さんでも大々的に取り上げられており、あの円谷プロのウルトラマンエースとも因縁のある存在なのです。
怪傑透明ウルトラエースに関してはかなりネット上に情報があるので(パチモンとしては情報がある"ほう")、気になった方は調べてみてください。

しかしパチモン文化って、昭和特有のモノで、現代日本ではもうそういうのは無いと思っていたんですよ。
思っていたんです...。

と思ったらあったよ。なんであるんだよ。絶対これ青春スイッチオンしないでしょ。宇宙来ないでしょ。

こちら、かなり前にTwitterで見かけた画像です。そのため詳細などは全くわからないのですが、これが仮面ライダーフォーゼのパチヒーロー、つまり古くても2011年以降に生まれたものであることは間違いないということであり。平成になってもまだ、パチモンキャラクターは、この日本で生まれているということです。
しかしおとなりの国とかではおそらく日常茶飯事でしょうし、このフォーゼモドキだってもしかしたらおとなりの国で描かれたものかもしれないのですが、これに日本語が添えられて日本で日本人の子ども向けの商品として存在している、その事実に大変感動をおぼえました。
まだあったんだ。パチ文化。

あのパチモンキャラクターが最後の一匹とは思えない。
人類が今後も特撮作品を撮り続ける限り、
第二、第三のパチ怪獣、パチヒーローが現れるかもしれない。

-終-

(ここから追記)
で、いくつか見ていただいてお分かりとは思いますが、
パチ怪獣のイラストは、水素獣エッチのような完全オリジナルも時々ありますが、ほとんどの場合円谷さんや東宝さんなどから勝手に拝借した元ネタがあり、スチル写真や絵本のイラストを勝手にトレースしています。
その上で余計なものをオリジナルで付け足したり(亡霊怪獣トーボーズ)、大事なパーツをもぎ取ったり、模様を描き変えたり(大怪獣ダイゴラス)、複数の怪獣のパーツを合成したり(がいこつバルタン)して、新たなる残念キャラクターを次々と生み出しているわけです。手間を加えているのに、そのせいで逆に残念な絵面になってしまっているんです。
ここまで書いて、もしかしたら勘のいい方はお気づきかもしれません。
私は気付いてしまいました。

これ、現代でいうクソコラ文化なんです。

パチソンが「歌ってみた」なら、パチ怪獣は「クソコラ」なんです。
クソコラと違うところは、何度も言いますがこれが本物ですよというツラをして堂々とお金をとっているところなのですが。
そう考えてから、がいこつバルタンなんか見てみてください。「#特撮クソコラグランプリ」みたいなハッシュタグで、いかにもTwitterなんかに居そうじゃないですか。「ちょwwwアントラーの腕消せてないwww」とか引用RTで突っ込まれていそうじゃないですか。

私はこれが一番言いたかった。これに気がついたから、パチ怪獣の記事を書こう!と思ったのに、ツッコミと解説に白熱するあまり、本来伝えたかったことを完全に忘れたまま投稿してしまいました。
いやー、パチ怪獣こわい。あと、今後ブログを更新するときは、プロットを書いてから執筆に取りかかろうと思います。

YU@Kさんの電子書籍(0円)が発売されました

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こんにちは、ろ紙(@0_w_old)です。

今のは、尊敬するブロガーYU@K(@slinky_dog_s11)さんのオマージュです。
ブログにもオマージュとかあるんですね。まさか自分がやるとは思わなかった。

そのYU@K(ユーケー)さんが、先日0円電子書籍『THE BEST』を出版されました。
YU@Kさんのブログ「YU@Kの不定期村」の記事をひとつでも読んでいただけるとわかると思うのですが、あの密度の文章が21本も、それも半分が書き下ろしで、更に偏ることなく様々なジャンルの記事が0円でいつでもどこでも読めるのは、かなりすごいことなんです。

詳しい収録内容やダウンロード方法などに関しては、以下のリンク先をご参照ください。
個人ブログ無料電子書籍出版 『THE BEST』(2015年12月28日発売)

今回の電子書籍化に関して、私が特に素敵だなと思ったところは、とにかく「読者をワクワクさせる」ということに全力を注いでいらっしゃる点です。
前書きや後書きでも読者を引き込んでくれる、楽しい文章。また、個人的には文章中にTwitterと連携しているツイートボタンがあるのが、一番ワクワクしました。
更に挿絵や校正作業もネット上で募集をかけ、「ファン参加型」のような、みんなで楽しいことをやる、文化祭のクラス縁日みたいな、そういった印象を受けました。もし次回があれば私も何かしらお手伝いさせていただきたいな、と...図々しくも思いました。

また、なぜ今回紹介したのかというと、私が当ブログ「総天然色日記」を始めるきっかけとなったのが、YU@Kさんのブログとの出会いだったからです。

まだ私がブログをやっていなかった頃の話。ネトサ中に見つけたブログで、なんだかとてもボリュームのある記事をいくつも書かれている方がいる。そして、とても説得力がある。
やはり、自分の言葉に説得力をもたせるためには、Twitterだけでなく、きちんとした文章でブログを書かなければならないな、と思いました。
そう思わせてくれた記事が、こちらです。
「特撮定義論」、着ぐるみとミニチュアとCGと ~2016年国産ゴジラ復活に際して

ブログサービスといえばFC2やはてなが主流ですが、その中でgooブログを私が選んだのも、YU@Kさんの影響です...。

また、当ブログは約半年の休眠期間を経て一度名前を変えたのですが、YU@Kさんには、私がろ紙と名乗る前から応援していただいています。つまり、スター・ウォーズでカイロ・レンがその名を名乗る前から彼のことを知っていた、あの重要人物みたいな感じです。
いや、冗談はこれくらいにして。当ブログはこのような特撮・映画系のブログ(まずそう名乗るほどの記事数がない)の中では知名度はまだまだのひよっこですが、YU@Kさんにはどんな記事でも更新のたびに毎回必ず、遅くても翌日の朝には、はてブ経由で感想をツイートしていただいており、頭が上がりません。やはり文章を書く者として、一言でも感想をいただけることのありがたさ、嬉しさと言ったらありません。

今回の0円電子書籍「THE BEST」、発売から1日経った現在で、1,200ダウンロードを突破したそうです。
YU@Kさんのご活躍がきっかけで、Twitter主流の今の世の中で、ブログ人口が増えるといいなぁ、質の良いブログにもっと出会いたいなぁ、と願っています。

年末年始、忙しい方も暇な方も、どちらでもない方もいらっしゃると思いますが、ちょっとした隙間時間などに是非読んでみてください。
ダウンロードしておけば、オフラインでも読めますよ。
そして、そこのあなたも、これを機にブログを始めてみませんか?
文章を書くのって、とっても楽しいことなんですよ。

作家、UMA研究家、歩く雑誌、動く待ち合わせ場所の中沢健さんに感銘を受けた話

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中沢健さんという脚本家をご存知でしょうか。

ウルトラゾーンの前後編ドラマパート「いつも隣にホーがいる」「東京ジュラ紀」「悪魔が降りた日」の脚本、
インドネシア初の変身ヒーロー「ガルーダの戦士ビマ」の脚本などを書かれている方です。

余談ですが、ガルーダの戦士ビマは石森プロさん制作で、「ウルトラマンサーガ」などでお馴染みのおかひでき監督も参加されています。
しかもデザインがメチャクチャカッコよくて、「あぁ、確かに平成ライダー系のデザインだなぁ」という印象を持たせつつも、日本のヒーローにはない、言われてみるとなんとなくインドネシアっぽい感じのモチーフが随所に散りばめられています。
現在この作品を日本語で視聴する手段はありませんが、動画がいくつかネットに上がっているので、インドネシア語がわかる方は観てみてはいかがでしょうか。



閑話休題。

中沢健さんは、脚本家としてのお仕事としては、今挙げたようないわゆる特撮もの、他には「燃える仏像人間」といったアニメのお仕事もされています。
しかしそれは脚本家としての一面にすぎず、今回記事タイトルにも書かせていただいた通り、大変幅広い活動をされている方です。
まぁ、中沢さんに限らず、人間は誰でも多くの面をもって生きているとは思うのですが。

それで今回私がこの記事を書こうと思ったきっかけとなったのが、先日放送された
「ビートたけしの超常現象(秘)Xファイル」
に中沢さんがUMA研究家としてご出演されていたことです。
番組の内容に関しては、こちらのTogetterまとめをご覧ください。
【速報】「ネコ人間」と「台風人間」トレンド入り←アレとしか思えないと話題に

(放送内容は賛否両論あるかと思われますが...。)
私は1人のUMA研究家として、ご自身の意見を真剣に伝えている中沢さんの姿を見て、大げさな言い方かもしれませんが、感銘を受けました。
要するに「自分の好きなもののために一生懸命になっている方の姿を見て、私も頑張らないといけない」と思いました、という話です。
加えて、番組内で中沢さんがご説明された「台風人間は実在するという根拠(おそらくガルーダの戦士ビマの撮影現場でのお話)」は大変興味深く、納得できる内容でしたので、私は台風人間はいると思います。

また、私は普段これだけ怪獣なんかの話を散々していながら、実はUFOやUMAなどの番組を見たことはほとんどなく、こんなに真面目に見たのは今回が初めてです。
今回の番組は、UFO研究家、SF研究家、あとなんかよくわからないカラフルな宇宙人の着ぐるみなど、大変個性的な方々が多く、もっとわかりやすく言うと、昭和特撮の世界からそのまま出てきたみたいな方々が沢山いました。
私は昭和特撮が大好きですが、平成生まれなので勿論それらの作品をリアルタイムで見たことは一度もなく、時々TVで放送していても、大概が有料放送や深夜の放送で、説明が少し難しいのですが、「そういう世界」がリアルに存在しているのかもしれない、という実感を持ったことは実は一度もなかったのです。
しかし今回の「ビートたけしの超常現象(秘)Xファイル」では、年末の日曜日のゴールデンの時間帯であるにも関わらず、昭和特撮のオーラをまとった方々が大々的に紹介されていました(しかし着ぐるみに関してだけは最後まで触れられることはありませんでした)。
いやオーラとか書くとまたオカルト方面の方から指摘が入りそうですが...言葉のあやということでご理解ください。
話を戻します。あの放送を見て、私は「自分が今まで好きだったものは間違いじゃなかったんだ」という気持ちになり、なんだかとても嬉しかったのです。
あの時間帯ですし、くだらない番組だな〜と思いながら見ていた方のほうが多いとは思われるのですが、私にとっては全然そんなことはなく、むしろこの番組に出会えて本当に良かったと思えたのでした。
その放送の存在も、以前から脚本家、また、いち特撮ファンとしてTwitterで中沢さんをフォローさせていただいていたので知ることができたのです。
中沢さんを知るきっかけを与えてくれた、ウルトラゾーンに感謝です(私は「東京ジュラ紀」が本当に本当に大好きです。田口清隆監督の演出との相性が最強で、本当に素晴らしいんです)。

また、中沢さんは今回紹介させていただいた以外にも本当に幅広くご活動されている方なので、是非調べてみてください。
もしかしたら、「動く待ちあわせ場所」として実際に見た、という方のほうが多いかもしれません。


参考
中沢健 公式サイト
「ビートたけしの超常現象(秘)Xファイル」ご視聴ありがとうございました! - 歩く雑誌・月刊中沢健のブログ
ガルーダの戦士ビマ(Wikipedia)

年越しはパチソンで!おすすめの特撮パチソン3曲

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キカイダーは怪獣じゃない。

はい、ということで、2015年最後の記事はパチソンの紹介をしようと思います。
パチソンについての基本的な解説はこちらの記事をどうぞ。
パチ怪獣という、救いようのない文化 - 総天然色日記

今回は当ブログがおすすめするパチソンを、元ネタの作品の簡単な解説をそえて、3曲紹介します。
すべて第二次怪獣ブーム時の作品なので、70年代前半のものです。
第二次怪獣ブームというのは、別名変身ブームと呼ばれている現象で、簡潔に説明すると1971〜1974年の間にTV番組を中心として起こった流行です。
円谷プロの「ウルトラファイト」、ピー・プロダクションの特撮番組「宇宙猿人ゴリ/スペクトルマン」などがきっかけで、変身ヒーローもの、怪獣ものが社会現象として、一時期ブームになりました。
毎日、毎日ですよ。どこかしらの局でヒーローもの・怪獣ものの特撮番組をやっていて、時には特撮番組同士で放送時間が被っていることもあったのです(ミラーマンとシルバー仮面、仮面ライダーと突撃!ヒューマン!!など)。
そんな夢のような、正直言うと今はとても信じられないような時代が日本にはあったそうです。

今回は紹介する動画が沢山あるので、動画埋め込みではなくYouTubeへのリンクを貼っています。
そのためスマートフォンのFacebookやTwitterなどのアプリから閲覧されている方は、Safariなどのブラウザで開き直すことをおすすめします。

1.もはや"伝説"。パチソンデビューはこれで決まり!「スーパーロボットマッハバロン」



1974年放送、宣弘社制作。
今となっては珍しい、巨大ロボット特撮ものです。
というより、今はスーパー戦隊で巨大ロボ戦をやっているので、それに比べるとロボ単体だと稼ぎが悪いとか、だったらアニメにしたほうがいいとか、そういう事情があるのかもしれませんね。

この「スーパーロボット マッハバロン」OP、原曲自体はとてもカッコいいんです。
この時代の子ども向け番組にしては珍しいロック調で、それに阿久悠さんの独特の詞が乗っかっているんです。
しかもOP映像では、イントロに合わせて、切り絵風のイラストがぐにゃぐにゃ動いて、すごくワクワクさせてくれて、そのセンスが素晴らしいんです。
ていうか、ごちゃごちゃ説明するよりも聴くほうが早いですね。
こちらが原曲です。

→「スーパーロボット マッハバロン」(YouTube)

はい、原曲、聴きましたか?
この超カッコいい原曲を、聴きましたか?
原曲を聴いてから、この伝説のパチソンを聴いてください。

→マッハバロン パチソン(YouTube)

いや、何をどうしたらこうなるんだよ。

歌詞が合っていない。このおっさん絶対風呂で歌ってる。なんか演奏も人をバカにした感じがする。何一つ合っていなさすぎて曲のジャンルが変わってる。
この"ヤバさ"が、一部のファンの中では伝説として語り継がれているのです。

これで初めてパチソンというものを聴いた方もいるかもしれませんが、パチソンは基本こんなんです。中でもマッハバロンは一番ヤバいやつなのですが、基本的にはこういう原曲と似せる努力すらしていない、全部にツッコミ入れていたらこっちの精神がもたないみたいな、そういうのがゴロゴロ転がっています。

2.原曲と別方向の狂気。中級者向け「ぼくらのバロム1」



番組タイトルは「超人バロム・1(ワン)」。さいとう・たかを先生原作。
1972年放送、制作は東映です。
等身大変身ヒーローで、小学生の男の子2人が合体してバロム1に変身します。
特撮で合体変身というと、他になんかありませんでした?...仮面ライダーW、じゃなくてですね、もっと前に、ウルトラマンAがあるのですが、これはどっちかがどっちかをパクったとかではなく、なんとバロム1もウルトラマンAも、1972年の4月にほぼ同時に放送開始しているんです。コンテンツではたまにこういうことがありますよね。

また、バロム1の最大の特徴は、歌詞にも登場する敵怪人「ドルゲ魔人」がものすごくグロくてキモいところです。画像検索するとなかなかの地獄を味わえますので是非。
あと、戦闘員が「アントマン」という名前です。某アメコミ原作映画公開時にTwitterの極一部の界隈で話題になっていましたね。

そしてこのバロム1、主題歌は水木一郎さんが歌っているのですが、原曲の時点で、主に歌詞から、なかなかの狂気が感じられます。

→「ぼくらのバロム1」歌詞

→「ぼくらのバロム1」(Youtube)

ブロロロローブロロロローとかルロルロロとか、まぁヒーロー番組だし、子どもがコーラスで歌ってるんでしょ?とか思いきや、全部水木一郎さんが歌っています。しかも擬音だらけでなんかポップな感じになるのかな?と思いきや、イントロはなかなかの重々しさがああり、バックで流れるストリングスが哀愁を誘う感じになっていて、そのギャップに正直困惑します。それでもカッコいい曲だと思ってしまうので、水木さんの歌手としての表現力は相当なものです。

それがパチソンになるとこうなります。

→ぼくらのバロム1 パチソン (Youtube)

何でそうアレンジしようと思ったんだ。リズム的に明らかに足りてなくておかしいと思わなかったのか。
コーラスで参加している子ども達の声も、不穏な空気を感じざるを得ない。
「かーなーらーずーくーるぞー バーロームワーン」の頼りなさ。来なさそうだけどとりあえず言っとくかみたいな。
チューニングがおかしいのはパチソンの基本なのでもう気にしないでください。

ちなみになぜこれを「中級者向け」としたのかというと、
原曲の時点でなかなか面白いものを更に面白くしたという点でパチソンの真の王者はバロム1だと個人的には思うのですが、
パチソン初心者の方にとっては、やっぱりカッコよさとヤバさのギャップがわかりやすいものが一番おすすめできるので、最初にマッハバロンを紹介しました。
ということで、バロム1は「元々そういう曲である」ことを理解した上で「でもパチソンはパチソンで別のヤバさがある」という楽しみ方を求められるため、中級者向けに当たるのではないか、と考えました。

4.逆に無垢な感じのする「トリプルファイターのうた」



1972年放送、円谷プロ制作。
円谷さんというとウルトラシリーズですが、実はウルトラ以外の特撮番組も多いのです。
特に第二次怪獣ブーム時には、この「トリプルファイター」の他、数年前リメイクキャラクターの出た「ミラーマン」「ファイヤーマン」「ジャンボーグ9」など。ヒーロー以外の特撮だと、「怪奇大作戦」「緊急指令10-4・10-10」がありますね。

しかもこのトリプルファイター、設定がなかなか斬新です。先程紹介したバロム1が2人で合体変身なら、このトリプルファイターは3人で合体変身します。
しかも2段階変身するんです。まず始めに、上の画像に小さく写っている三人にそれぞれ変身します。その後合体して、画像真ん中の「トリプルファイター」となります。三人合体の二段変身、イナズマンもびっくりですね。

トリプルファイターの原曲はこちら。

→「トリプルファイターのうた」(YouTube)

この手の昭和特撮ではよく聴く、王道の少年合唱団声ですね。
そしてパチソンがこちら。

→トリプルファイターのうた パチソン(YouTube)

子どもの歌声がものすごくあどけない。
バロム1パチソンでの子どもの声のあの怪しさったらなかったのに、なに、このあどけなさは。
個人的にはこっちのほうが、子どもらしさがあって純粋そうで好きなんですけど、商品としてはダメですね。
上位2曲がパチソンとして優秀すぎたため、若干パンチに欠けますが、この「子どもの声が明らかに素人」というのもパチソンあるあるです。



以上、2015年、私がオススメしたいパチソン3曲でした。
なんで大晦日にこんなものを書いて、こんなものを聴いているのか、それは私が知りたいです。この時間に投稿しても誰も読まないし聴かないだろうに...。

しかし来年はもう少しマシなものを、とは全く思っておりません。
なぜなら、真面目に特撮を愛して、特撮文化の綺麗な部分を純粋に楽しむことは、もっと得意な方、それに向いている方が他に沢山いらっしゃると思うからです。
これが私にできることなんです。
ということで、来年もまた、こんな感じでブログを続けていきます。
すでにこのブログがきっかけで、パチ怪獣関連で何やらヤバそう楽しそうなお誘いもあるとかないとか...。

2016年は活動の幅を広げて色々やっていきたいと思いますので、どうぞご期待ください。



2016年、早速購入した特撮資料紹介。パチソフビもあるよ!

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2016年、ついにシン・ゴジラ公開の年になりました。あけましておめでとうございます。

今日は元日でしたが、まぁお正月感のあることも特にせず、普段通りに過ごそうと思いました。
ということで、中古ショップで特撮系のお宝探しへ。

本日購入したのはこちら。



左から、

シルバー仮面MATERIAL(夜盗組)
メーキング・オブ・円谷ヒーロー①(講談社X文庫)
東宝特撮映画ポスター全集①(宇宙船文庫 朝日ソノラマ)

しょうちゃんえノートウルトラマンシリーズ(ショウワノート)
ダイヤモンド・アイ風パチソフビ(版権無し)

以上です。


書籍系はこれからじっくり読むので内容のレビューなどはできませんが、一応サラっと解説。

1.シルバー仮面MATERIAL



資料系同人誌です。こちらの夜盗組というサークルさん、過去にもこういった特撮資料同人を沢山出版されているようで、70年代TV特撮を中心に、平成ライダーなどの同人誌もネットの中古通販サイトで見つかりました。
個人的に非情に気になるサークルさんなのですが、公式サイトやTwitterなどはやっていらっしゃらないようです。もう少し情報がないか調べてみようと思います。

いやいや、まずシルバー仮面ってなんだよという方もいらっしゃると思います。シルバー仮面は、1971年に放送された、宣弘社・TBS制作の変身ヒーロー番組です。
第二次怪獣ブームでヒーロー番組が沢山制作されていた時代の作品ですね。第二次怪獣ブームに関しては、以下の記事で解説しています。
年越しはパチソンで!おすすめの特撮パチソン3曲 - 総天然色日記

シルバー仮面は、初回二話を、実相寺昭雄監督が担当されています。また特殊造形は高山良策さん担当です。
裏番組が円谷プロの「ミラーマン」だったので、資料率がとれなかったというのは有名な話です。そのためテコ入れがありました。
第1話〜10話はいわゆる等身大変身ヒーローだったのですが、11話からは番組タイトルが「シルバー仮面 ジャイアント」になり、その名の通り巨大変身ヒーローになりました。
このエピソードは、2年程前に放送されていた「ジェネレーション天国」というTV番組で、一度「変身ヒーロー特集」という回があり、そこで紹介されていたので、なんとなく知っている方も多いとは思います。
私は「実相寺昭雄監督」という名前がゴールデンの全国放送の番組で紹介されたことにものすごく興奮して、そこからこの作品への興味を持ち始め、今回こちらの本を購入するに至ったのです。

ちなみに上記の放送年や制作局の基本情報はWikipediaではなく、こちらの「シルバー仮面MATERIAL」を参考にさせていただきました。
なんか、ネットじゃない、紙の資料が手元にあるって、ものすごく嬉しいことですね。やはりWikipedia以外の資料が紹介できると、なんとなく自分の文章にも説得力を持たせられる感じがしますし。これが楽しいから特撮資料本集めはやめられない。

2.メーキング・オブ・円谷ヒーロー①



円谷プロの特撮作品を、ウルトラQ〜恐竜戦隊コセイドンあたりの範囲で紹介しています。
写真や資料など、ザッと見た感じボリュームは期待を裏切らない充実さでした。

3.東宝特撮映画ポスター全集①



東宝映画のポスター柄のポストカードブック。
怪獣図解など、あまり見ないポスターまできちんと収録されていて、ありがたいです。

以下、当時もののグッズの紹介です。

1.しょうちゃんえノートウルトラマンシリーズ



保存状態が良いので判別が難しいのですが、多分当時ものです。
まぁ多分もったいなくてノートとしては使えないのですが。というか、使ったらマニアの方に怒られそう。
じゃあなんで買ったんだよって話ですが、私は「当時もの」に弱いんです。
復刻版や、当時の資料を集めて作り直されたものももちろん嬉しいのですが、やはりその作品が放送されていた時代にリアルタイムで出ていたグッズを手に入れることで、「この作品は本当に当時子ども向けに放送されていた、確かに実在したんだな」と実感することができるからです。
勿論それが古いものであればあるほど相場も高くなるので、数は全然持っていないのですが。

2.ダイヤモンド・アイ風パチソフビ



お待たせしました、パチソフビです。
これ実は、パチグッズとしては私が初めて手に入れたものです。
まぁ、パチというわりにはパンチが弱いですが。パッケージ無しですし、色が違うのだって当時のソフビでは普通のことだったので、「なんで白いんだよww」というツッコミもできません。
しかしお店の札には「ダイヤモンドアイ風パチ 版権無し」と書いてありましたし、念のため調べてみたら本物のパチでした。本物のパチという日本語のおかしさ。
ダイヤモンド・アイのパチソフビは、おもに成形色が白のものとグレーのものがあるようです。
もう少し彼についても情報がないか調べて見ます。

「いや、パチモンがどうとかじゃなく、まずダイヤモンド・アイってなんだよ」という方、すみませんでした。
こちらが正しいダイヤモンド・アイです。



「光の戦士 ダイヤモンド・アイ」。1973年放送、東宝制作の特撮TV番組です。原作は、「月光仮面」でお馴染みの、川内康範先生。
「愛の戦士レインボーマン」「正義のシンボル コンドールマン」と合わせて、川内康範三部作と呼ばれることもあります。
実は彼、変身ヒーローではありません。変身者はおらず、元々この格好で存在しているヒーローで、主人公が召還します。マグマ大使みたいな感じですね。サイズは人間と同じです。

先程紹介しました夜盗組さんから「ダイヤモンド・アイMATERIAL」が出ているそうなので、いずれ手に入れたいと思います。



はい、元日ですがいつも通りの内容でした。
今年もこんな感じでこういうお金の使い方をしてこういうことを沢山書いていこうと思います。

とりあえず今年は、予告なしに突然半年の更新停止なんてことは起きないようにします。自分に厳しく。読者の方に楽しんでいただける記事を沢山書いていきたいです。更に今年からは、ネット上を中心に、活動の幅を広げていく予定です(書いたからもう逃げられない)。

今年も当ブログ「総天然色日記」をよろしくお願い致します。

話題沸騰中の「書き時計」見てきた。プロダクトデザインはいいぞ!

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噂のアレを見てきました。

天才か!卒業制作「書き時計」に驚嘆の声 時計に時間を書かせる発想 - withnews

元のツイートがTwitterで流れてきたときは、東京芸大とかあっちのほうの人なのかなーって思ってたんですけど(美術系大学にもランクがあって、特に東京芸大やタマビ、ムサビは美術にあまり明るくない人でも聞いたことはあると思います)、
なんと自分の大学の先輩でした。

山形市にある東北芸術工科大学の卒展は、2/14(日)まで開催中です。入場無料、各地から送迎バスも出ています。

ソウゾウリョクと旅に出る。東北芸術工科大学 卒業/修了研究・制作展


ということで、行ってきましたよ卒展。
見てきましたよ書き時計。

この「書き時計」は、プロダクトデザイン学科という、製品デザインやインターフェースなど、文字通り「問題解決」としてのデザインを中心に勉強している学科の作品です。

プロダクトデザイン学科の会場は体育館。
こういう展示って、落ち着いた雰囲気の会場で、あんまりおしゃべりとかしないほうがいいのかな、という印象があって、人によってはそういう点で敷居の高さを感じてしまう方もいらっしゃると思います。
しかしこの芸工大プロダクトデザイン学科の卒展、特に今年は、そういった堅苦しい印象がなく、楽しい雰囲気に包まれた会場です。
ほぼ全ての作品(作品数は53点)に制作者の方が隣に立っていて、制作の意図や作品の解説など、ご本人から直接お話を聞くことができます。
また、多くの作品が、実際に触れて楽しむことができるのが特徴です。


▲タイトルだけでも面白そうな作品ばかり!

「書き時計」は、正式名称は「書いて時間を表す時計」。鈴木完吾さんの作品です。

展示1日目は「プロダクト・インターフェースデザイン」のスペースに、他の方の作品と同じく展示されていたのですが、
人だかりができてしまった等の事情で、2日目からは会場奥のイベントスペース付近に移動、
制作者の鈴木さんによる解説と実演も時間が決められてスケジュールが貼り出されていました。
メディアの効果ってすごい......!!
私が会場に着いたときも取材のカメラが入っていました。

私は2日目12:30〜の実演・解説を見に行きました。
もう、ものすごい人だかりで、ルーブル美術館のモナリザかよっていうくらい人人人で、後ろの人は全然作品が見えないので、前の方の3列くらいはしゃがんでいました。
芸工大の学生はもちろん、親子連れやおじいちゃんおばあちゃん、4月から入学する新入生や入学希望者の高校生など、まさに老若男女が時計を見るために集っていて、私の隣にいた男子小学生は終始小声で
「いや天才すぎるでしょどんだけ頭いいの?意味わかんねぇ頭よすぎ 天才 やばすぎ」
と半ギレでつぶやいていたのが面白かったです。

作品の仕組みや解説などは、鈴木さんのTwitterや各ニュースサイトなどを見てもらえるとだいたい書いてあると思うのですが、一応私が覚えていることを書いておきます。

・パーツは全て木材。電動糸のこで自分で切り出した
・数字を書く仕組みは、カムというパーツの形が数字を書く軌道になっていて、当然0から9まで全部形が違っていて、それぞれ4カ所(00:00という時間表時のため)に数字のカムが組み込まれている
・文字盤は磁石で絵を描く知育玩具のパーツ
・分の数字だけ書き換えられるのではなく、1分ごとに全ての数字を消して書き直している
・原動力は下にぶら下がっているおもり。このおもりの長さの縛りがあるので、現時点でこの時計が連続で動くのは1時間ほど。
・手作業でのカムの切り出しの誤差や動きの誤差などがあるため、数字のバランスが崩れることがあり、特に8を書くのが難しい
(鈴木さん「あ、ちょうど次は8分ですね...」 私の隣の小学生「どうせ書けっから!」→書けた)

実演中は時計がリアルタイムで数字を書き続けていましたが、何度見てもこれは感動もので、動くたびにお客さんたちはどよめいていました。

複雑に組み合わされたパーツがかちゃかちゃと音を立てて、一瞬で4つの数字を書く様子はとても美しく、不思議でした。本当にこれは飽きずにずっと見ていられます。
数字を書いていない間の、お客さんのまだかまだかというわくわくしている空気が面白かったです。

1人でも多くの方に是非直接本物を見て、制作者の鈴木さんのお話を伺ってほしいです。

書き時計以外も、プロダクトデザイン学科の卒展は楽しいものばかりですし、他の学科の展示も素晴らしいものばかりなので、是非みなさん日本中からお越しください。
次回の更新では、他の学科の展示の感想を書きます!

東北芸術工科大学 卒展2016 プロダクト以外もいいぞ!

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この記事は、プロダクトデザイン学科以外の感想です!

巷で話題の「書き時計」を含めたプロダクトデザイン学科卒展の感想はこちらをどうぞ。↓

話題沸騰中の「書き時計」見てきた。プロダクトデザインはいいぞ!



今年回ったのは以下。簡単な感想。

・テキスタイル...「素材研究」というテーマそのものである本質的であり新しい発想の作品が目立った。
・工芸...さらっと見た程度であまり印象に残っていないが、毎年安定して質が高い。陶芸は去年も今年もすごい。
・彫刻...質が高い作品とそうでない作品の差が大きかった。
・総合美術...去年よりだいぶマシだったが、コンセプトボードのセンスがなさすぎ。
・建築・環境デザイン...より多くの人にコンセプトを理解してもらおうという工夫があった。
・映像...3作品くらいしか見られなかったけど面白かった
・企画構想...今年から会場が本館に移動。去年に比べると全体的な質が高かった。
・文芸...ブックカフェという展示形態が良い。もっと沢山の人に知って欲しい。最優秀作品は何回も読みたい。
・歴史遺産...今年初めて行った。学科の性質上どうやって展示すればいいのか、という問題をうまく解決している感じ。


以下、いくつかピックアップして詳細な感想・解説など。

・美術科テキスタイルコース

まず「テキスタイルって何?」って人が大半でしょう。
一般的に、芸術系大学にある「テキスタイル」という専攻は、織物や染色など、「布」に関する技術を学びます。
といっても大学により傾向はかなり大きく違い、「テキスタイルファッション」といって洋服の制作を一緒に学ぶ大学や、シルクスクリーンプリントを中心に学ぶ大学などさまざまです。
そんな中、東北芸術工科大学のテキスタイルは日本のテキスタイル教育の中では、おそらく一番本質的なのではないかな、と思います。

ここで学ぶ内容で、技術的なものは、紡ぎ・染色・織物といったテキスタイルの基本ですが、その中で芸工大テキスタイルコースが一番重要視しているのは、「素材研究」なのです。
まず、美術作品を作るという行為は「自己表現」なので、作品を制作する方は、必ず何らかのテーマ、世の中に発信したい自分の想いがあります。
この芸工大テキスタイルコースが重要視しているのは、それをどのようなメディアで表現するのかということ。つまり、どんな素材を使って、どのような制作方法で、どんな色かたちを作るのか。
ただ「この素材が好きだから」「この色が好きだから」ではないのです。今回の卒展も、繭玉や紙のパルプ、ティンパニのヘッドなど色々な素材が使用されています。それに全部、意味があるのです。
どうしてこの素材なのか。それはこのタイトルとどんな関係があるのか。なぜこのテーマにしようと思ったのか。
芸工大のテキスタイルコースの卒業生は、全員これに答えられます。4年間、これが答えられるように指導されてきたから。
本当はこれ、美術をやっていく上では基本中の基本、全員がわかっていないといけないことなのですが、残念ながらそれをこうして4年間しっかり学べる場というのはそう多くはありません。
やはりそれを教えられてきた方の作るものというのは、完成度が段違いです。
同じ大学でも、他の学科は年によって卒業制作のクオリティにばらつきがあることが多いですが、テキスタイルコースは毎年安定して素晴らしいです。
私がこうして持ち上げるのは決して身内びいきしているわけではなく、本当にそう思うからです。
諸事情で写真を載せられないのが残念ですが、大学のホームページや学科ブログで作品の写真は沢山見れるので、気になる方はぜひご覧ください。


・美術科総合美術コース

毎年テキスタイルと同じ会場に展示しています。が、それがかわいそうだなと毎年思います。
なぜかというと、正直言って比べ物にならないくらい毎年レベルが低い。
具体的にどうレベルが低いかというと、高校の美術科の卒業制作と同じ程度か、それ以下のものが多いです。
おそらくそれは専攻の名前からもわかるとおり、自由度が高すぎて、4年間学ぶ上での全体のテーマなどがはっきりしていないからではないでしょうか。

というかなぜ総合美術コースという専攻があるのかが謎なんですよね。
絵を描きたいなら、洋画(油彩)コースと日本画コースと版画コースがあります。立体をやりたいなら、彫刻コースと工芸コース。
それに、技法や展示形態にとらわれたくないのであれば、テキスタイルコースがあるんですよ。
先述のとおり、テキスタイルの本質は素材研究なので、なにも染め織りにこだわる必要はなく、ミクストメディアでの制作や、一枚の大きな絵を描く方、彫刻のような立体物を制作する方は毎年何人もいらっしゃいます。

総合美術コースが方向性を見失い迷走していて、そのせいで展示のクオリティが残念だということは、所属の者でなくてもわかります。
そして今年特に気になったのが、作品の隣に解説の文章を書いたボードを全員展示しているのですが、そのボードの出来が最悪すぎる。
背景の色も濁ったような変な色だし、文字のサイズもフォントもダサい。行間も読む側に全く配慮していなくて、4年間美術を学んだ人間が作るものとは思えませんでした。
そういうとこなんだと思います。自由度の高いことをやる前に、美しいものを作る基本を素直にしっかり学ばないと何も始まらないんだと。


・映像学科

学生の自主制作映画(実写・ドキュメンタリー・アニメ・CGなど)を大学内の映画館設備「サクラダシネマ」で観賞することができます。
今年はスケジュールの都合で2本しか観られませんでしたが、どちらも面白かったです。

「つつんでむいて/石川純一」
男性ならではの身体のコンプレックスに、恋人との関係で悩んでしまう大学生の物語。
脚本・役者の演技ともにとてもお気に入りです。
主人公の彼女が他の男性と浮気して関係をもったと思ったら実は...というシーンの種明かしは、客席で笑いが起きていました。

「鬼の少女/布施拓哉」
現代モノの和風アクションもの、とでも言うのでしょうか。
主人公は平凡な青年。しかしある日ひょんなことから自分を神様と名乗る女の子の封印を解いてしまって~?!というお話。
劇中2回ほど殺陣があるのですが、それがメッチャ本格的で手に汗握る展開なんです。
...と思ったらきちんとクレジットされていました。殺陣指導は山形のアクション俳優・殺陣師の佐藤陽介さん。
山形で殺陣・アクションといったらこの方ですよ。まさか映像学科の卒制に参加されていたとは...。

・文芸学科

小説・エッセイなどといった執筆活動や、雑誌の編集などといった内容がメインのために、卒業制作の展示がなかなか難しい学科。
今年は、卒業生全員が自分の作品を製本して、お客さんが自由に手に取って読めるという形態をとっていました。
室内にはソファとテーブル、お菓子と無料でコーヒーなどの飲み物を注文できます。つまりブックカフェをやっていました。
また、一度に全員の作品を見るのは他の学科と違い難しいので、全員分の作品を収録したCD-Rも販売しているのは、とても良いと思いました。
優秀作品数点には、パネルと一緒に教授陣による直筆の講評文が添えられているところは、現役の小説家・文芸評論家・編集者が指導している文芸学科ならではだと思います。

小説やエッセイ、評論など数人の作品を読んでみましたが、名前は忘れてしまいましたがひとつ、とても個人的に自分と波長が合わない作品がありまして。
とっても暗ーい世界にいて、自分の中に閉じこもるのが好きな方(少なくとも私はそう感じました)の文章だったのですが、私は読むだけですっごく気分が落ち込んでしまいました。
私は、わりと最近、抗うつ剤のお世話になっていて何もかもが辛くて絶望的だった時期があったのですが(今はもう大丈夫です)、1人の人間が書いた文章を読んだだけで、自然とそのときの精神状態に戻ってしまいかけて、すごく危なかったです。
多分それは、勝手にこう言っては失礼かもしれませんが、その文章を書いた方の精神状態、考え方が、昔の自分にとても似ていたからだと思います。
このことで私がとても強く実感したのは、文章というものは自分の想像以上に強いエネルギーを放つ存在なのだということです。

また、最優秀賞を受賞した國井祐希さんの小説「たいへんよくできました」も読みました。
実はこちら、最優秀作品と知らずに手にとって、読み始めて2ページくらいで既に、なんだこれは、文章がすごく美しいし、他の人と全然レベルが違う。何かとてつもないものを内包しているように感じる...と思いながら最後まで読んで、帰るときに最優秀作品だということを知りました。
美しい文章って、文章で世界を表現するってこういうことなんだな、と純粋に思います。


・歴史遺産学科

考古学、歴史、民俗学などを学ぶ学科。山形・東北ならではのフィールドワークが学べる場所なのだと思います。
学科の特性上、卒制ではなく他大学のように「卒論」になってしまうので文芸同様展示形態がなかなか難しいですが、
歴史遺産学科はゼミごとに各自卒論を要約した写真付きパネルを展示し、印刷した卒論も一緒に置くというかたちをとっていました。
書いた本人が会場にいれば、内容について色々お話を伺うことができるので面白かったです。
美術系・制作系の学科と歴史遺産学科のような研究専門の学科が一緒にあるのも東北芸術工科大学の面白いところです。



以上、自分が感じたことを正直に書きました。
そんな芸工大の卒展は、今日2/14までです。
山形駅から無料バスも出ているので是非。
残念ながら行けない方は、来年度是非よろしくお願いします。


茨城県民の自虐が炸裂!特撮人形劇「イバラキ警備隊」を知っていますか?

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イバラキ警備隊とは。

茨城…それは最後のフロンティア。自然豊かな風土や様々な観光資源。おいしい食べ物や優しい人々。そして味わい深い寂れた田舎感。それらを狙う悪の手から自主的に防衛を行う組織。それがイバラキ警備隊(FRONTIER DEFENCE FORCE)である。
人形と茨城の実写風景とを融合させたハイブリッド人形劇です。メインキャラクターはすべて人形、物語の舞台となる場所はすべて茨城の風景や観光地。
事件の被害者・エキストラは茨城県の方々。県内の人間だからこそ分かるポジティブな事もネガティブな事も丸ごと盛り込んで、笑って見られる娯楽ヒーロー作品を目指します。
(公式サイトより引用)

ワッヘンフィルムスタジオ制作の、新感覚、しかしどこか懐かしいにおいのする特撮人形劇です。
美術造形はなんと、特撮ファンにはおなじみの造形作家である寒河江弘さん。
茨城県が運営するインターネットテレビ「いばキラTV」で本編が全話無料配信されています。

→いばキラTV「イバラキ警備隊」

本作は、ミニチュア人形の操演と特殊撮影技術の組み合わせで、私たちの知らない茨城県の新しい姿を見せてくれるすばらしい作品です。
私自身は茨城県に縁もゆかりもない人間ですが、イバラキ警備隊が大好きです。この記事では、私が感じた本作の魅力を紹介します。

1. 自虐が激しい

この作品は、タイトルのとおり茨城県のPRが目的で制作されています。それもただの宣伝ではなく、いつの間にか茨城県の「お家芸」となった自虐ネタで勝負しています。
そのため、とにかく自虐が激しい。気を抜いていると次から次へと笑っちゃ悪いけど笑うしかないネガティヴ・ギャグが飛び出します。



例えばこちら、イバラキ警備隊の警備ロボ「47号」。自虐に関係ないけど、まず目がイってて怖い。
この47号、名前の由来は茨城県が「都道府県の魅力ランキング」で47位、つまり最下位をとったことに関する戒めの数字だということが作中で語られています。設定が重い。

また、主人公のヒタチ隊員は、大学入学とともに上京、茨城と比べてビルがでかい(※劇中の表現)都会の空気に圧倒され、心の拠り所を求め大学卒業後は故郷である茨城へと帰ってきたという設定です。

さらにこちら。第二話に登場するメロン生産者の青年と一般県民のやり取り。



「茨城県はメロンの産地。しかしあまり知られていないんです!この現状をどうお思いですか皆さん…!」
「えっ!そうなの?知ってた?」「わかんな〜い。」
「馬鹿野郎、お前ら県民どもの意識が低いからいつまでも!!!!」

前代未聞、県民の意識の低さをハッキリと指摘するご当地PR番組。
(個人的にはこの台詞の登場するエピソード#2-1〜#2-4「誤ったアピール!メロンと有名な滝」が一番お気に入りのエピソードです。)



2. 特撮ヒーローものならではの作風

「イバラキ警備隊」は、変身ヒーローこそ出てきませんが、悪の怪人軍団「ブラックローズ団」vsイバラキ警備隊 という構図は特撮ヒーローものの作風そのものです。
変身しない、巨大ロボットの存在しない特撮ヒーローものというと、ウルトラQや怪奇大作戦や緊急指令10-4・10-10、また人形劇という点ではサンダーバードが近いですね。

イバラキ警備隊は、そういった「ヒーローもの」の作風で県のPRを自虐を交えて展開していくという、おそらく初の試みを行っています。
そのために、一般的なローカルヒーローとは決定的に違う点がひとつあります。
「県の名産品と怪人の関係」です。
多くの場合、ローカルヒーロー作品は県の魅力を伝えるために存在しているので、県の名産がそのままヒーローのモチーフになっていて、敵である怪人はそれらを脅かす存在となっています。
しかしイバラキ警備隊の場合、県の名産が怪人のモチーフです。



なぜかというと、悪の組織ブラックローズ団の目的は「茨城県のイメージダウン」だからです。茨城県の名産を怪人にすることによりその名産(例:あんこう、メロン)のイメージダウンをはかり、ゆくゆくは茨城県全体への印象が下がる、といった目論み。
劇中の紹介によると、茨城県の魅力が低下しランキング最下位となったのも彼らの仕業らしいです。

3. 純粋なPRもきちんとこなしている

自虐だけでなく、正直なPRもしっかりとこなしているのがイバラキ警備隊の魅力。
ブラックローズ団による観光地のイメージダウンという目的もあるので、怪人が現れるのは決まって県の中でも有名な場所。
ヒタチ隊員が現場へ向かう際は、突然ナレーションが丁寧な口調に変わって、車や公共交通機関でのアクセスをテロップ付きで詳しく教えてくれます。




更に、現地の人じゃないとわからない細かい情報も!

▲ヒタチ隊員「よし、少し遠いが無料駐車場にとめてダッシュだ!!」

4. 監督ががんばっている

本作監督の飯塚貴士さんは、脚本・撮影・編集・音楽・声優をほとんどすべてお一人で担当されています。登場キャラクターは何人もいますが、生身の人間(エキストラの茨城県民の皆さん)以外はナレーション含め全員監督の声、女性であるミトコ隊員まで監督の声です。(そのため、時々誰の台詞かわからなくなることも…)

5. ギャグが全部面白い

自虐ネタが売りの本作ですが、自虐じゃないギャグ(この表現が既に駄洒落っぽいのがなんか恥ずかしい)もかなり盛り込まれていて、監督のセンスの光る独特なノリがクセになります。不意打ちで襲ってくることが多々あるので、家に1人でいるときじゃないと見られないです。
こういうのって文章で紹介してしまうと面白みが半減してしまうので、どんなものか気になる方は本編を見てください。

#0 プロローグ「説明!イバラキ警備隊のひみつ!」から見たほうが細かい設定などがわかってから作品を楽しめますが、本作の最大の魅力であるギャグと特撮技術が本領を発揮するのは#1「見ためが恐い!アンコウという魚」からだと個人的には思うので、お試し感覚で手っ取り早く作品のノリを知りたい方は、このエピソードから観賞を始めるのをおすすめします。



さて、私がイバラキ警備隊をどれだけ愛しているか、どこに魅力を感じているのかは大体わかっていただけたとは思いますが、
そもそも私がこの作品を知ったきっかけには、イバラキ警備隊と同じ飯塚監督が制作されたNHKの特撮人形劇「補欠ヒーローMEGA3」の存在があります。



補欠ヒーローMEGA3はイバラキ警備隊とほぼ同じ、ミニチュア人形と特殊撮影で展開されるヒーローもののショートドラマです。人形特撮ならではの画面の雰囲気やギャグのノリなど、作品の魅力的な部分はイバラキ警備隊とほぼ一緒です。
私はこの「MEGA3」、ゆうばりファンタスティック映画祭2015での一挙上映と監督による作品解説で初めて存在を知り、同時にその魅力に取り憑かれ一瞬で大ファンになってしまいました。
作品の概要やメイキング映像はネット上で公式に公開されているので、気になる方は是非調べてみてください。なんと声優として斉藤工さんが参加されています。

しかしこの「MEGA3」、かつてニコニコ動画で公式配信を行っていたようですが、2016年2月現在、インターネット上のどこを探しても動画が存在せず、ソフト化もされていません。
悲しみに暮れた私は、それでも飯塚監督のあの特撮作品への愛と最高の笑いを詰め込んだ人形劇が観たい、今すぐに観たいという気持ちで、執念深く情報を集めました。
そこで出会ったのがこの、イバラキ警備隊。ソフト化こそされていないものの、Youtubeの公式チャンネルで全話配信している。しかもかなりの話数がある(動画の長さ自体は、1話につき大体2分程度です)。
基本的なテイストは「MEGA3」と共通でありながら、ギャグ(主に自虐方面)のキレや話のテンポが更に進化したのがこの「イバラキ警備隊」。

また、本来茨城県のPRという目的で作られた本作ですが、しっかりその役目は果たしていると思います。
少なくとも私と、私が個人的に勧めた大学の後輩は、茨城県に縁もゆかりもない人間ですが、この作品の魅力に取り憑かれ、茨城県について沢山の知識を得ました。
あんこう鍋の作り方や、茨城県はビルが小さいこと、茨城県ではメロンを作っていること。また、かき氷のメロンシロップにメロン果汁は含まれていないこと……。

というか茨城県って、言うほど魅力ない?そんなに?と思います。私は茨城に行ったことは一度もありませんが、水戸黄門や納豆の知名度は言うまでもありませんし、つくば市という最先端の研究都市もあります。
またここ最近では、劇場版も公開されたアニメ「ガールズ&パンツァー」の影響もあり、大洗には沢山のファンが訪れてその魅力を共有しています。
そして何よりも、私がイバラキ警備隊以前から知っていた茨城のローカルヒーロー「時空戦士イバライガーR」の一員であるヒロイン、イバガールが超かわいい。
こんなに沢山の魅力があるのに、県の魅力ランキング最下位という、その事実が逆に意外でした。


▲イバガール(画像左)。「いばキラTV」内の茨城PR動画「なめんなよ♡いばらき県」THE MOVIEにも出演しています。


しかしランキング最下位という数字があるのは事実ですし、地域の魅力って、舞台となった作品の知名度、観光地や名産だけで決まるような簡単なものではないんだなぁ、というのもこの作品から学びました。

そんな中、魅力ランキング連続3年間最下位という事実を受け入れ、自虐という形で他の地域には真似できないPR方法を思いつき、こんなにすばらしい作品ができたのだから、茨城の未来は明るいはずです。

あわよくば、続・イバラキ警備隊を作ってほしい!!

◆参考

いばキラTV「イバラキ警備隊」
ワッヘンフィルムスタジオ
茨城県を守る【時空戦士イバライガー】公式サイト
「のびしろ日本一。いばらき県」PR動画 (平成27年度いばらきを知ろう!大キャンペーン)
「なめんなよ♡いばらき県」THE MOVIE

予備知識ほぼゼロでキンプリをみた。

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1月の終わり頃です。
友人と一緒に、>劇場版KING OF PRISM by Pretty Rhythmという映画を見に行きました。

…ん?何だそれ、知らねーよ。自分が読んでもわからなさそうだし、この記事は閉じていいかな…と思ったそこのあなた。ちょっと待ってください!!
キンプリは、「王様のブランチ」週間映画ランキングで、ミニシアター部門1位を獲得した作品なんです。






現在もTwitterを中心に口コミがどんどん広がっていって、私のように予備知識ほぼゼロの状態で劇場に足を運んで、プリズムのきらめきにあてられる人々が後を断ちません。
今の日本、いや世界のトレンドを知りたい方、毎日がなんとなくつまらないと感じている方、思いっきり笑いたい方、新しい世界を見たい方は是非!この記事を読んで、キンプリという作品を知り、そのまま劇場へ足を運んでください!

と、こんなことを書いている私もタイトルの通り、初見時は「なんかヤバいらしい」「アイドルアニメらしい」というフワっとした認識しかありませんでした(当時はまさか応援上映含め3回も観ることになるとは思わなかった)。

この作品、結論から言うと、
笑っていいのか純粋に感動していいのか迷った映画は初めてです。

しかも、どちらも正解なんです。同じシーン、同じ作品で、笑いと感動が両立しているんです。リバーシブルなんです。一粒で二度、いやキンプリに限った話だと五度くらいおいしいんです。

ここまで書いても観てない人には意味がわからないと思います。
でも大丈夫!観ていてもわからないから。

作品を観ても観なくてもわからない、というか観る前の謎は観たら大体解決するのですが(例:みんなが言ってるセロリってこのシーンか!等)、観たら観たで今度は新たな謎(例:自分は一体何を体験したんだ…?)が生まれる作品なので、解説をするという行為自体があまり意味を持たないのですが、
ここまでの文章はキンプリという作品自体の情報をまったく知らない読者の方にとってあまりに不親切すぎますね。
なので、ここからは便宜上一般的な映画レビュー的な文法で作品解説をさせていただきます。

◆KING OF PRISMとは

2年前に放送していた児童向けアニメ「プリティーリズム(通称プリリズ)」シリーズの三本目、「プリティーリズム・レインボーライブ(通称RL)」の大人向けスピンオフ作品です。



プリティーリズムは、ファッションと音楽がテーマの同名の女児向けアーケードゲームの販促アニメです。
ここまで書いて察しの良い方はお気づきかもしれませんが、現在筐体稼働・アニメ放送ともに現役の作品「プリパラ」の前身シリーズでもあります。
プリティーリズムシリーズからのプリパラは、世界観は一新されていますが、プリティーリズム筐体で使えたアイテムのQRコードはプリパラ筐体でそのまま使えますし、劇場版や3DSソフトなどで両作品のキャラクターの絡みもあります。

(関連記事:女児アニメ「プリパラ」にハマってしまった人の話)

話をキンプリに戻します。キンプリは、プリティーリズム・レインボーライブの男子キャラクターをメインに、多くの新キャラクターを加えて制作されたスピンオフ作品で、本編のその後が描かれた正式な続編です。

キンプリは、レインボーライブ本編で結成された男子3人のチーム「Over The Rainbow」(通称オバレ)と、彼らの後輩となる新キャラクターであり、本作主人公の一条シン君を中心に話は展開していきます。



プリティーリズム・レインボーライブ本来のターゲットは女子児童なので、登場キャラクターも女の子がメインだったのですが、キンプリは男性キャラクターがメイン(というか、キャラクター数自体は決して少なくないのですが、しゃべっているのは男しかいません)。
例えばプリキュアシリーズ等、女児向けのアニメに成人男性のファン(いわゆる大きなお友達、おじさん)がつくことは近年珍しいことではなく、”アニメファンの間では”常識になりつつあると思います。しかし、キンプリは原典が女児アニメでありながら、成人女性をターゲットのスピンオフという、大変挑戦的な作品なのです(しかも、劇場には女性だけでなく、多くの男性ファンが訪れています)!

シリーズが終了し、TV本編は放送していない作品(だからこそ作ることができたというのも大きいですが)のターゲットの違うスピンオフ。当初は小さい規模でひっそりとやっていく予定だったようですが、主にネットの口コミ効果でプリズムの煌めきがどんどん広がり、多くの劇場が公開期間延長、上映劇場追加、イベント開催などの奇跡が起こり、ついに王様のブランチでもサラっと紹介されるまでになりました。

…と、ここまで書いて、実は私はプリティーリズムシリーズは、レインボーライブすらまともに観たことがありません。プリリズファンの皆様、知ったような口をきいて本当にすみません…。
キンプリを初めて観た当時はTV本編を1話も観ていませんでしたし、現在はレインボーライブTV本編を少しずつ視聴を始めたものの、その話数は片手で数えられる程度です。

自分が今大好きなプリパラ。それが始まる前に昔放送されていた、プリティーリズム・レインボーライブというアニメのスピンオフだということは最低限知っていた上で、あえて予習を全くせずにキンプリを観た理由は、それはそれで他の人と違った視点で楽しめるんじゃないかな、と思ったからです。

その予想は正解だったようです。自分の感想と、ネット上のプリティーリズムファン(通称プリズムエリート)の感想を照らし合わせたところ、キンプリはプリリズを知っていなくても十分楽しいし、知っているともっと楽しいと。

ということでここからが本番。キンプリという作品がどれだけ恐ろしいのかを解説します。

◆KING OF PRISMの魅力

1. 男の裸が多い。



何がしたいのってくらい男の裸が多い。油断するとすぐ画面が肌色になる。あまりにもホイホイ脱ぐし、それが大体唐突だったり、もしくは何かしらの笑える演出とセットだったりするので、この60分の間に男の裸=面白いと脳内で紐付けられてしまって、こっちはいい年して裸を見るだけでもう笑えるっていう、自分の笑いの沸点が小学生レベルにまで下がる現象が起こります。

しかもこれ、前売りの段階からだったんです。アニメ系のニュースをチェックしている人は見かけたことがあるかもしれませんが、5枚セット前売り券と公式グッズのデザインがまさかのメインキャラ(全員男)が外で全裸で微笑んでいる絵面で。
劇場公開1週目の入場特典はクリアファイルで、この5枚セット前売り券の半券を挟んで服を着せてあげるデザインでした。

→履いてません!? 劇場版『KING OF PRISM』衝撃の劇場前売券ビジュアルが解禁! - animate.tv

→キンプリの入場者プレゼント情報! - KING OF PRISM 公式サイト


そして「こいつら意味もなく肌晒しすぎだろwwwww」って思ってたら、まさかの伏線回収があるんですよ。クライマックスのめちゃくちゃ感動的な、これはもう純粋に感動できるシーンなんですけど、そこで今までやたらと自分らが脱いでいた理由が主人公・シン君の口から語られる。その理由がまた良い。すごく良い。ウケるとかじゃなく純粋に良い。この主人公だからこそ言える台詞であり、この60分で彼が積み上げてきたものがきちんとあるので、とても説得力のある台詞でした。
…あれ?男が脱ぎ過ぎて面白いって話をしていたはずだったんだけど…おかしいな。

2.「アニメのライブシーン」の常識を覆すプリズムショー



原典が音楽がテーマの作品なので、キンプリにも勿論ライブシーンは登場します。
ここで「アイドルアニメ」という表現をしていないのは、作中でステージ上で歌って踊る等パフォーマンスをする人のことは「アイドル」ではなく「プリズムスタァ」と呼ばれているからです。
「プリティーリズム」シリーズには「プリズムショー」という作中独自の文化があります。
プリズムショーとは、簡単に説明すると、フィギュアスケートとアイドルのパフォーマンスを合わせたようなものです。

そしてキンプリの主人公・シン君はこの作品でシリーズ初登場のキャラクターで、彼はプリズムショーというものをほとんど知らない状態から物語はスタートします。なので、プリティーリズムという作品、プリズムショーという概念をまったく知らない人でも、主人公と同じ視点で物語を楽しむことができます。

そのプリズムショーですが、キンプリは本編スタートとともに、Over The Rainbowによる魅力200%のショーが始まります。
映画館のお客さんのほとんどは、まずこのシーンで心をガッチリ掴まれます。いや、掴まれない人なんているのか…?
美しいCGで描かれる、最高にカッコよくて、楽しそうな男の子達のパフォーマンス。劇中の観客の絶叫に近い黄色い声。短い時間の中に、盛り上げ要素がこれでもかというくらい散りばめられています。

あー、男の子達カッコいいなー。楽しそうに歌ってるなー。なるほどこうやってアイドル要素とスケート要素を合わせているわけか…などとプリズムの煌めきに浸っていたら、

何かがおかしい。

さっきまで歌を歌っていたはずの男の子達が、女の子と自転車を二人乗りしてラブラブ空間を演出している…。と思ったらいつの間にか再び野郎だけの空間になり、男三人で雨の中全力で自転車を爆漕ぎしてETみたいに月をバックに自転車が浮遊しだして、最終的に「公道での二人乗りは禁止だよ♥」と交通ルールと説いてきた瞬間、
「この映画はこういう作品なんだ」「固定概念にとらわれてはいけない」
と直感的に思いました。

その後も、回想シーンでは東映特撮を思わせる爆発をバックに歌う男、ステージ上に出現するベッドにスケート靴を履いたまま横たわる男共、興奮のあまり人間であることをやめ大量の黄色いバラに姿を変えてしまう女性ファン達など、脳の処理が追いつかなくなる映像がバンバン飛び込んできます。

3.脳に直撃する小室サウンド。大和アレクサンダーという男



そして中盤で一番盛り上がるシーンが、EZ DO DANCEをBGMに展開していく2つのバトルです。
EZ DO DANCEとはあのEZ DO DANCEです。元々、プリティーリズム・レインボーライブはOPや挿入歌でEZ DO DANCEやBOY MEETS GIRL、CRAZY GONNA CRAZYといったTRFのカヴァー曲を使用しています。

このシーンでOver The Rainbowの一員である仁科カヅキくんに喧嘩を売ってくるのが、大和アレクサンダーというガタイのいい男子高校生。



公式サイトの紹介文がもうおかしい。

この大和アレクサンダー君、まず見た目が怖いし、超ドスのきいた声。この声がめちゃくちゃ怖い。でもカッコいい。
…なんと声優は、昨年アニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ」プロデューサー役で一躍話題の人となった18才の武内俊輔さん。
つい最近までアイドルのプロデューサーの役をやっていた人が、このキンプリでは
「アイドル気取りがヘラヘラ女に媚び売りやがって…ストリート系の地位をどこまで落とせば気がすむんだ?」
「俺はてめぇをブチのめさねぇと気がすまねェ」
「バラバラにしてやる」
「地獄へ堕ちろ」
などとこれでもかというくらい物騒な台詞をポンポン言います。更に、EZ DO DANCEを歌っているのも武内俊輔さん(と、仁科カヅキ役の増田俊樹さん)です。彼の物騒な台詞と歌声が同時に聴けるのも(今のところ)キンプリだけ!

しかも武内さん、実はこのシリーズの出演は初めてでなく、「プリパラ」TV本編ではドルオタの男性とアシカの船頭を演じています。アシカ役ではCD化されていない歌を綺麗な声で歌っています。

そんな武内さん演じる大和アレクサンダー君の見せ場であるEZ DO DANCEのシーンですが、男二人がウェットスーツを着てダンスバトルを始めたかと思ったらドラゴンを召還して竜巻を起こし、大剣をマトリックスみたいにかわしたかと思ったら2撃目を思いもよらぬ手段で防ぎ、勝負の決着はまさかの
...!?という、大変アツい展開です。
「まさか自爆する気か?!」
という、バトルものお約束の台詞もあります。いやなんのアニメだこれ
そして別の場所では、まだプリズムショーを知ったばかりの一条シン君と、Over The Rainbowの美浜コウジくんの先輩後輩同士でのプリズムショーの特訓が展開されます。これも王道の修行シーンという感じがしてアツい。
男性ヴォーカルのEZ DO DANCEをBGMに、ド派手な男の真剣勝負と体育会系的特訓シーンが同時展開される。こんなの楽しいに決まっているじゃないですか!!!!
実際このシーンは画面から伝わってくる熱量がすごすぎて、私は途中からBGMが全く頭に入っていませんでしたし、このシーンで
「この映画、一回観るだけじゃ足りない!」
と確信しました。

4.笑えるし泣ける。泣けるのに笑える。



本作全体の魅力である「笑いと感動の両立」。これ、笑えるシーンと泣けるシーンが同じくらいの比率で含まれているとかではなく(一部そういったシーンもありますが)、同じシーンなのに観る人の捉え方によって笑えるし泣けるという、新感覚のなんだかすごい作風なんです。

その中でも特に顕著なのは、

・儚げな美少年が突然涙を溢れさせ、壮大すぎるバラードBGMをバックに主人公に抱きつくシーン
・オバレの3人がギリシャ神話のような衣装を着てプリズムショーをしていたはずがハリウッド行きの電車が空から走ってきて、三人で星座になるシーン
・まさかのフルCGで凝ったカメラワークでの学校へ行こうパロ

この3つですね。

泣けるのに笑える(私は9割笑いましたが…)理由は、複数考えられます。
台詞だけ抽出して、彼らの身に起きている出来事を考えると泣ける。でもそれらを演出する要素の誇張があまりにも激しい、もしくは発想が斜め上で、どちらにせよ「一般的な感動的なシーンの演出」の枠でやる、という優等生的な姿勢をとっていないこと。また、「乙女ゲー」「男性アイドルアニメ」等の文化のパロディ的な要素が大きいこと、などが考えられます。
そして、原典の「プリティーリズム」シリーズを知っていればいるほど感動で泣けるという感情が強くなる。
そのため、「感動と笑いの両立」ができているのではないのでしょうか。

あと余談ですが、仲の良い相手同士で、しばらく会えなくなるという別れ際に、とりあえずなんでもいいからとにかくひとつでも多く言葉をかわしたい!という心理で「身体に気をつけて!」と若干かしこまった表現でお互い同じことを言い合ってしまうところなんかは、最初は笑ってしまいましたが、よく考えるとリアルだなと思いました。



▲パンフレット。登場キャラクターの声優さんも「シナリオがとても突き抜けている」「弾けている」とおっしゃっているので、あぁ我々がおかしかったわけではないんだな…と安心しました(?)

◆キンプリを観てください

他にもキンプリは、やたらと詳細に材料を説明する豪華手料理や、セロリの調理法、独特なコミュニケーション方法をとるキャラクターなど、魅力の沢山つまった作品です。

特に序盤でふれた自転車の交通ルールと、セロリが苦手な人のための調理法は、原典が児童向けアニメであることの名残というか、リスペクトなのかなぁ、と思いました。


▲プリズムショーの知識ほぼゼロの私でもこんなに長ったらしい文章で語れるくらいには堪能できましたし、何より監督ご自身もこのようにおっしゃっています。

この記事を読んで少しでも気になった方は、迷うより先に観てください!
というかこの記事のこんなところまで読んでくださっている方は(ありがとうございます)、プリズムのきらめきを感じることができる素質が十二分にあります!!
しかもキンプリは、DVD化の予定は今のところありません。実はかなり予算ギリギリで、劇場公開されたことが奇跡のような作品なのです。

観て大興奮するも良し、泣くも良し!「なんだったんだあれは…」と呆然とするも良し。
キンプリを観てください!

***

参考:
KING OF PRISM by PrettyRhythm 公式サイト

きょうドラマ放送開始!小説「初恋芸人」を読んで感じたこと

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小説「初恋芸人」を読みました。

著者は、以前当ブログで紹介させていただいた、脚本家の中沢健さん。

作家、UMA研究家、歩く雑誌、動く待ち合わせ場所の中沢健さんに感銘を受けた話 - 総天然色日記

こちらの記事は公開後、中沢さんご本人にも読んでいただき、感想をツイートしていただけました。

「ウルトラゾーン」や「ガルーダの戦士ビマ」など脚本家としての中沢健の仕事が入口となって、「ビートたけしの超常現象(秘)Xファイル」をご覧になられた方の感想ブログ。https://t.co/Z6w89lwzN3こんなふうに見てくれている方もいるのだと思うと本当に励みになります!

— 中沢健「初恋芸人」3月ドラマ化&文庫化! (@nakazawatakeshi) 2015年12月31日

こういった体験をできるのが、ブログをやっていて、自分の意見を発信していてよかったと思える瞬間です!
ありがとうございます...!

この「初恋芸人」、なんとドラマ化が決定していて、放送は今日。3/1からNHKBSプレミアムにて毎週火曜23:15〜です。



主演は柄本時生さん。ヒロインはなんと、松井玲奈さん!
原作の雰囲気を表現するのにふさわしい、ピッタリのキャストです!!

この「初恋芸人」原作小説、以前から気にはなっていたもののチェックできていなかったのですが、今回ドラマ化の発表を聞いて、今しかない!と思い、楽天ブックスで注文しました。在庫は、まさかのラスト1冊!!
(原作小説「初恋芸人」は、3/18に文庫版の発売も予定されています。)

ということで、今回はこの小説の感想を書かせていただきたいと思います。

…が!!
ドラマ放送直前ということで、物語の結末には、あえて触れません。当記事は、ネタバレなし感想です!

本当はこちらの作品、物語の結末こそが作品テーマそのものであり、この作品を語る上では外せません。
テーマと結末が切り離せないので、どちらかを語ると自然とすべてを明かしてしまうことになる…。
レビューなので、本当はそれでもよいのですが、

ドラマで初めて「初恋芸人」を知る人
ドラマを観てから原作を読もうと思っている人

には、ドラマでも小説でも、物語そのものをご自身で感じて、その結末を見届けていただきたいからです。

…いち読者の身分で生意気ですが、それくらい私の中でこの作品が特別な存在になってしまったのです。お許しください。
原作のネタバレあり感想は、ドラマの放送がすべて終わったら公開する予定です。

そもそも、ドラマと原作で、結末や、それに至る展開が同じかどうかも今はまだわからないですよね。

ということで、今回は、小説としての「初恋芸人」主人公から私が感じたものを記していこうと思います。

◆◆◆

主人公の佐藤賢治、いや、呼び捨てにするのはちょっと気がひけるので、佐藤賢治さんですね。
彼は25歳の売れないお笑い芸人で、年齢=彼女いない暦。
更に、中学時代いじめに遭っていた過去があり、女性が苦手です。

お笑い芸人という点を除くと、現実にも当てはまる方は決して少なくないでしょう。
特にここ数年、おそらくSNSの普及、また「リア充」という使い勝手の良い言葉の浸透などにより、自分という人間の短所、他人と比較して己の人生の悲惨さにクローズアップして、笑いをとるでもなく、たんに自虐というか「そういうもの」として、また多くの人がステータスのように公言する文化があります。

元々が2ちゃんねるなどの匿名掲示板で主流だった文化なので、Twitterなどインターネット上のほうがそういった傾向が強いように感じますが、近年はリアルとネットの文化に壁がなくなってきているので、リアルでも若者を中心にそのようなコミュニケーションのとりかたをする人は多くなってきています。

いじめられっ子だった、異性との接し方がわからない、童貞だ、仕事も成功しているとは言えない、自分という人間に自信がもてない…と、この情報だけみると、親近感を抱く方は少なくないと思うのです。

しかし、この「初恋芸人」主人公・佐藤賢治さんのような人間は、現実にはなかなかいないでしょう。

なぜなら、彼はどこまでも謙虚で、あたたかく優しい人間で、美しい心の持ち主だからです。

まず理由のうちひとつとして、私の主観ですが、前述の自虐をコミュニケーションの手段として使う若者、普段から自虐ばかりする現代の若者には、佐藤賢治さんのような心を持っている人はあまりいないんじゃないかな、と思います。
むしろ、自分をいじめた者への強い憎しみ、自分を受け入れてくれない世の中への怒り。また、自分と仲良くしてくれない人間、多くの場合は「リア充」(人によっては異性全体)への軽蔑。そういった気持ちの大きい人が、「自虐による自分の切り売り」をやっている印象です。
なぜなら、正直に言うとこれを書いている私自身に心当たりがあり、またネットでもリアルでも周りにそういった知人が多いからです。

「初恋芸人」主人公の佐藤賢治さんの中にも、勿論そういった気持ちはあるでしょう。「バレンタインというムカつくイベント」(P5)という表現は、本文が始まって早い段階で目に入る文章です。人間関係がうまくいかず、イライラして行き場のない怒りで意地悪な気持ちになるシーンもあります。
人間なので、そのような感情があるのは当然のことです。

しかし、それ以上に彼は謙虚で優しい。
ほとんど、常にと言っていいほど彼は反省している。どんな小さな卑しい感情でも、そんなふうに思ってしまった自分を反省し、考えを改めようと努力している。
そんなところまで反省しなくてもいいのに!そんなことになったら誰だってそう思ってしまうよ…。というところですら、自分を省みています。
「〜〜(ネタバレになるため省略)を想像したら、胸がいたむ。そこで胸がいたんでしまう自分も、いやだった。」(P115)と。ここの場面は、彼の苦しみを想像してしまって、自分もつらい気持ちになり、早く救ってあげたいと思いました。

彼がそのような、常に反省するような考え方になったのは、中学生のとき、好意を抱いてすらいない女子生徒から
「佐藤君と付き合うくらいなら、死んだほうがマシよ!」(P4)
と言われたことが大きく影響しています。25歳になったいまでもその言葉が忘れられないようで、
「ボクが近づいても女性は不快な気持ちになるだけ。」(P36)
とハッキリと表現しています。

しかしそれだけではないと私は思います。
彼自身が、実はとても強い人間で、他人への思いやりの心を忘れていないからです。
これが、現代の自虐コミュニケーションの若者の大半と、佐藤賢治さんは違うと感じたふたつめの理由です。

自虐をする人間、というと、つねにネガティブで悲壮感にあふれ、近寄りがたさを感じさせる暗い雰囲気をまとっていて、こちらまでどんよりした気分になってしまう…そういった人を想像します。
しかし彼は、基本的に考え方はネガティブではあるものの、どんよりとした暗い空気はあまり感じさせません。
芸人という、他人を笑わせて楽しい気持ちにさせるという職業の影響は勿論あるでしょう。

また、それ以上に私が感じたのは、彼は「今自分がこうして生きていること」への道しるべを示してくれた存在すべてに感謝しているということです。

直接的な表現でそのような言葉が何度も登場するわけではありませんが、本文中のちょっとした表現や、言葉の端々から、とても伝わってきます。
一番わかりやすいのが、いつも仕事を紹介して面倒をみてくれる先輩芸人の山形ツチノコさん。そして、何かにつけて食事をおごってくれる高校の同級生である、橋本晃。更に「ボクに向かって初めて笑いかけてくれた女性」(P24)であり、本作ヒロインの市川さん。そして、ネタを見てくれるお客さんに、子どもの頃から自分に寄り添ってくれた、フィクションの世界の怪獣という存在。
そういったものへの感謝の気持ちです。

そのような気持ちを出来るだけ忘れずに生きるというのは、単純なことのようでとても難しく、しかし幸せに生きていくうえでとても大切なことです。

そして、小説である「初恋芸人」の主人公がそのようなあたたかい人間であると読者である私に感じさせた理由は、他でもない、著者の中沢健さんが優しい人間だからではないでしょうか。

つい最近、有名な音楽家が
「純粋で美しい音色を奏でられる人に悪い人がいるわけがない」(=表現者の性格と作品の美しさは一致するものだ)
と発言し、反論意見でTwitterが炎上したばかりです。私もこの発言は正しくはないな、と思いましたが、
「初恋芸人」主人公の佐藤賢治さんと、それを生み出した著者である中沢健さんはその限りではないと思います。
それは、この作品に限らず、中沢さんの書かれる文章からはいつもそういった雰囲気を感じるからです。

私は以前から、中沢健さんご本人のTwitterアカウント、そして中沢さんの様々なメディアでの発言を集めたbotをフォローさせていただいています。
ご本人やbotのツイートを読んでいていつも思うのは、柔らかくてあたたかくて、優しい雰囲気が伝わってくるなぁということです。

と言っても言葉の選び方や、句読点の付け方など、そういったパーツをある程度意識すれば優しい人風の文章は誰にでも書けるのでは、とも思いますが、文章から伝わってくる、文字で書かれている情報以外のもの、オーラとでもいうのでしょうか。そういうものはあると思います。

私自身、全くそんなつもりがなくても、文章から威圧的なものを感じ取られて怖がられることや、がさつな性格が見えてしまう文章だな、と自分で感じることがしばしばあるからです。
なので、そんなときに中沢さんの文章を読むと、こんな美しい心で生きていることが素敵だな、と思います。
なんだかとても大げさな表現のように見えて、胡散臭いかもしれませんが、今回初めて中沢さんの小説家としての文章を読んで、より、そう思うようになりました。

◆◆◆

そして、本作のもうひとつの魅力。
「初恋芸人」は、中沢さんの一番の専門分野である特撮ネタが、これでもかというくらい飛び出します。
「ウルトラマン」「ゴジラ」シリーズは勿論、「ガス人間第一号」「サンダ対ガイラ」「シルバー仮面」まで…。
知っている人はニヤリとしてしまうし、知らない人にもきちんと意味がわかるように丁寧な解説がされている点も、すばらしいです。



勿論それはドラマ版でも完全再現されているようで…!!
特に写真右の、「ウルトラマン」登場怪獣の、ゴモラのような着ぐるみを着た男。主人公とは別の、怪獣オタクの「ガラバン」です。
ガラバンは、小説を読んでいたときの想像のまま、いや、それ以上に「っぽい!」な姿で、とてもテンションが上がりました!



また、佐藤賢治さんの部屋は勿論怪獣だらけ!
伏せ字でも、パチモンでもない、円谷プロの正規グッズがチラチラと画面にうつる。これだけでワクワクしちゃいますね。

更に、小説「初恋芸人」は、小学館 ガガガ文庫から、3/18に文庫版が発売されるそうです。

日付が変わって情報解禁!3月18日発売の文庫版「初恋芸人」(小学館 ガガガ文庫)の表紙ビジュアルが公開されました!上条 衿さんが描かれた市川理沙が、とっても可愛い!!https://t.co/nVQQaf8EFx pic.twitter.com/s7LHARDH1v

— 中沢健「初恋芸人」3月ドラマ化&文庫化! (@nakazawatakeshi) 2016年2月29日


表紙は、この物語の世界を凝縮したような素敵なイラストになっていますね。
こんなにかわいいイラストにバルタン星人の姿が描かれるとは…!
さらに、中沢さんのオリジナル怪獣「ほしくい」の姿も。
単行本の表紙は渋谷の街を歩く中沢さんの後ろ姿の写真で、作中の空気を切り取ったような印象的な表紙で好きだったのですが、文庫版の表紙もすばらしいですよね。

◆◆◆

ということで、「初恋芸人」ドラマ版は、日付が変わって今日。
23:15〜よりNHK BSプレミアムで放送開始!
毎週火曜放送、全8回です。
「新ウルトラマン列伝」と合わせて、1日で2回もTVでウルトラマンや怪獣の姿が見られます!

「火曜深夜も、見てくれよな!」というやつですね。

たまには畑仕事もいいぞ。

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また、久々の更新となってしまいました。

今回はプライベートな日記的な内容です。


突然ですが、私の通う大学には、畑があります。
といっても農業系の学科があるわけではなく。畑のある芸術系大学なのです。



▲奥にうっすら見える三角屋根の建物が本館です。本当に、大学の敷地内に畑があります。


なぜ芸術系大学に畑があるのか。それは、美術科テキスタイルコースの学生が、染料を作るために紅花と藍を育てているからです。
毎年、教授や県内の農家の方の指示のもと学生が主体となって動き、作品に使う材料を自分達の手で育てています。
夏に収穫された紅花は、その後染料として保存され、毎年冬に開催されるイベント「紅花ルネサンス」でその美しさを発揮します。
なぜ夏に収穫するのに冬まで待つのかというと、紅花の染料は気温が低いほうが美しく色が出るためです。



ここで私の身の上について。私は去年までテキスタイルコースの学生でしたが、自分の意思で今年から文芸学科に編入したので、テキスタイルの所属ではなくなりました。
なので、畑に参加しなければならないわけではないし、正直な話、実はテキスタイルに在籍していた頃から畑仕事にはあまり乗り気ではありませんでした。朝早いし、何が楽しいのかよくわからないし、虫嫌いだし。興味ないから、専門的なこと学ばなきゃいけないのも面倒くさいし...。

しかし、テキスタイルと離れて文芸という自分が本当に好きなことを始められて心が軽くなったからなのか、友達が先輩として指揮をとっているので応援したい気持ちになったからなのか、今年から、ちょっとだけお手伝いしようかなぁ、という気持ちになりました。
ちなみに、誤解を招いてしまうかもしれないので補足ですが、テキスタイル生としての日々が辛かったわけではないですし、テキスタイルでの数年間のおかげで今の自分があると思っています。

ということで、一昨日と今日、友達にスケジュールを聞いて参加してきました。種まきは来週なので、今週はまだ雑草抜きや苦土石灰まき、土を耕す作業など、畑の土台作りの段階です。



一昨日はとても天気がよく、気持ちよく作業できました。といってもまだ朝は少し冷えますが、大学自体が山の上にあるので、畑からの眺めがよくて、これだけでちょっと感動。
私は今まで、あり得ないくらい不真面目で非協力的な学生だったので、こうして畑の土にふれるのは1年以上ぶりでした。
草や土のにおいも色も、雑草の生命力の強さも、畑の空気も、すべてが初めてみたいに新鮮であり懐かしくて、ちょっとだけ初心に返りました。


かわって本日は、朝からずーっと雨。ざんざん降りではないのですが、小雨がずっと続いています。大学の学食二階でこれを書いている今も、窓の外の人はみんな傘をさして歩いています(私、自転車で来たんだけど、いつ帰ろう...)。



▲大学の裏にある山も、えげつないほどの霧がかかっていました。

そしてこの程度の天気ならば予定を変更せず雨天決行するのがこの大学のテキスタイル...。
家を出た瞬間、まさか、いや、まさかな...?と思って友達に連絡をとってみたら、期待を裏切らず予定が進んでいるようでした。

雨の日の畑は、当たり前ですが土がしっとりと濡れていて晴れの日とは違ったやわらかさがあって、またミントかハーブかわかりませんが、雨に濡れた雑草のにおいが気持ちよく、濡れて寒いのを除けばこれもこれでなかなかよいです。

久々の畑で、自分が好きだなーと改めて思ったところは、土の独特なやわらかさです。長靴をはいて、種をまく前の畑を遠慮なく歩いて雑草を抜くという作業。虫に遭遇するのは多分永遠に慣れることはないでしょうが、自分の体重で土が沈んで、足の裏でフカフカを感じるのがなんとも楽しい。

こんなに沢山土や植物があるという環境自体が、少なくとも私にとってはなかなか非日常のことです。
スマホやPCの画面を見たり授業を聞く毎日の中で、一週間のうちたった数時間だけでも、太陽の下でこの畑と向き合って生命を育てるという時間は、日々の生活にメリハリをつけてくれます。
少々大げさな言い方かもしれませんが、この習慣の積み重ねが、人生が豊かになる手助けをしてくれるのではないでしょうか。
20代の今、こうして畑に触れることができ、しかもなかなかない紅花を育てるという行為に携わることができるというのは貴重だな、と今になってやっとわかることができました。
在学中はこれからも、できるだけ畑に顔を出して土や植物と触れ合っていきたいです。

大学のサークルで広報誌を作りました。

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こんにちは。

2月、3月は引っ越し等で色々とバタバタしておりまして、また新居のインターネットが開通していなかったため、ほとんど更新することができませんでした。
どうでもいいですが、私は普段長めの文章を書くときはパソコンのほうがいいものが書けるとなんとなく感じているので、ブログの更新はパソコンから...というこだわりがあります。

そしてバタバタしていたもうひとつの大きな理由、それが今回の本題。
大学のサークル広報誌、いわゆる部誌を作っていたからです。



私のTwitterを見てくださっている方は既に耳タコかとは思いますが、改めて解説させていただきます。

◆発行の経緯

まず、われわれは何サークルか。それはもう答えはひとつ。特撮サークルです。
団体名は「特撮研究室(ラボ)Q」。でも長いのでだいたいみんないつも「特撮サークル」と呼んでいます。



そんな特撮研究室Q、まだできて3年しか経っていない...とも言えるし、3年も経ったともいえるのですが、大学のサークルの中で歴史は浅いほうかと思われます。
生まれてから2年間、模索していろんなことに手を出して活動し、時には挫折し、時には素晴らしい青春の1ページとなり、紆余曲折を経て現在に至るのですが、なにぶん知名度が低く、また特撮という限定的なジャンルのためメンバーは少なく、部費がおりないので金銭的に余裕もないため、今後の活動に行き詰まっていたのです。

そういった状況で思いついたのが、
「部誌を作ろう!」
というアイデア。

専門的な難しい知識や技術はほとんどいらないし、みんなが普段集まっているときにしゃべっているようなことをそのまま書くだけでも絶対に面白いものになる。形にするのとしないのとでは大きな差がある。
そして、我々は大学入学時にAdobeのソフトを手に入れているので、ページレイアウトソフト「InDesign」が使える...!!
更に、本として形に残すことで自分達の活動を記録として残すことができる。

このような理由から、サークル広報誌「流星キック」の企画がスタートしました。

企画を始めたのが去年の12月頃で、それに伴いクラウドサービスで今までのサークルの写真や議事録などのデータをまとめたりして、タイトルロゴを作ったり、そのために死に物狂いでIllustratorを勉強したり、後輩に表紙のイラストを書いてもらったりして、今年の2月の末に完成いたしました。

◆まさかの需要!



制作段階から私のTwitterやサークルの公式アカウントでリアルタイムで情報を出していたため、発行前から多くの方の目にとまったようで、学外の山形県民の知り合い、また山形県外の顔もしらないTwitterの方からも、沢山の「読んでみたい」という声をいただきました。

顔も名前も知らない、地方の素人学生が趣味でやっている活動に、ここまで興味を持っていただけるなんて、全くの予想外で...。嬉しいという気持ちより先に、驚きのほうが先に出てきました。

そして、なんだかものすごい期待されている...?というのはなんとなく実感できるようになったのですが、これだけ期待させておいて、読者の方にとってつまらないものだったらどうしよう、という不安も。

ここだけの話(ネットに公開しておいてここだけも何もないのですが)、サークル広報誌、部誌と言いながらも内容は7割が私の書いた文章で、更に企画もレイアウトも内容も全て私のセンスなので、この本の制作と一番長い間向き合っていたのは私です。

おそらく、文章を書いたり、何かしらの創作活動などをされている方はわかる感覚かと思うのですが、あまりにも長い間作品と向き合っていると、これが面白いのか面白くないのか。カッコいいのかダサいのかがわからなくなります。
また、自分は面白いとかカッコいいとか思っていても、他の人が見たら全くそう感じないということも考えられます。
私は部誌に限らず、ブログを書くとき、また大学の課題でレポートを書くとき、この感覚がいつもあります。
だから、この「流星キック」創刊号も、実際に読んでいただいた方の感想をいただくまで、とても不安な気持ちは大きかったです。

2週間ほど前に、私のTwitterのフォロワーと身内限定で郵送による先行配布を行ったときなんかは、早くみんなの家に着いてほしい。はやく読んでほしい。感想が聞きたい。と毎日そわそわしていて、一番到着を楽しみにしていたのは私だったんじゃないでしょうか。

私のTwitterのフォロワーはブログをやっている方が多いということもあり、皆さん文章を書くことや読むこと、また自分の好きなものから何かしらの意味を読み取って自分なりの考えをもつことに慣れています。
そして特撮や映画、漫画アニメ等の知識に長けている方が多いです。
そのために、余計にどんな反応がくるかハラハラしていましたし、またとても楽しみでもありました。
この方達だったら、身内だからという理由だけで手放しに褒めるとか、社交辞令だとかそういうことは一切ないだろうから、真剣な感想が聞けるだろうと、信じていました。

◆反響

結果、
「すっごく面白い」「読みごたえがすごい」「内輪感が少なく、広報誌としての機能を果たしている」「歴史的第一号を受け取ることができて嬉しい」
など、沢山のありがたい感想を頂戴いたしました。紹介したのはほんの一部で、本当はもっと沢山のお言葉をいただいています。

更に学内配布では、特撮に特別興味があるわけではないけど持っていってくれたという友人も数人。
「こうして好きなものをかたちにできるというのは良いよね」
という感想はとても印象に残っていて、今もこうして長い文章を書いたり次の企画を考えたりということをやる原動力になっています。
想像を遥かに上回る評価の良さ、感想の数々、本当に感謝しかありません。

私個人の話ですが、今までサークルや大学生活では、何においてもなかなかうまくいかないことが多く、時には強烈に批判されたり人が離れていくということも少なくありませんでした。
勿論私自身が未熟な人間であるというのが原因としては第一ですが、自分の活動が肯定されたり、一定数の人間に愛される(というと語弊があるかもしれませんが)ということが、行動のわりにとても少ない日々を送っていました。
そのために、ここまで沢山の人に自分のやったことを認めてもらって、気持ちを伝えてもらうということに慣れていないので、感想をいただくたびに、読んだという報告をいただくたびに、嬉しさとありがたさが一気にこみ上げてきて、毎回子どもみたいに大喜びして「ありがとう」しか言えなくなってしまいます。
特に「好きなものを形にできる」という、自分にとって今まで当たり前だと思っていたことが、人によってはすごいことに感じられるというのが強烈に印象に残っています。
今まで大変なことも沢山あったけど、ここまで来ることができてよかったと心の底から思います。

◆振り返り

今回の創刊号に関して、仕事の量でいえば確かに一番深く携わっているのは私ですし、本来編集者が担当する以上の仕事をやりましたが、私1人の力だけでできた本ではありません。
個人ページに参加してくれたメンバー、活動記録ページで紹介できる内容の活動をしてくれたメンバーや先輩方、そして一番は、この素晴らしい表紙イラストを描いてくれた後輩。
彼女らがいなければ、この本は完成しませんでした。



この表紙のおかげで、ネット上・学内ともに多くの方に興味をもっていただいて、ここまで評価されるものとなったと言っても決して過言ではないはずです。
冒頭に載せた、私の作ったタイトルロゴとの相性も良く、2016年の特撮サークル広報誌の創刊号の表紙としてこれ以上のものはないと思っています。

また、本文を読めばわかるのですが、こうしてサークルのメンバーで協力して何かをつくるという活動は初めてではありません。まぁ、サークルですし何かしらの活動はしていればそうなりますね。
具体的にいうと、過去にはオリジナルヒーローのスーツを作ったりなんかもしていまして、完成したときの達成感や周囲からの評価はとても嬉しいものでした。
しかし現実的には、詳細は割愛しますが、色々な事情でこの団体には向かない活動かな、という結論になってしまい、大学の特撮サークルでは大体どこもやっている「オリジナルヒーロースーツの制作」は、今後一切やらないことになりました。
本当は、他大学の特撮サークルのように、自分で作ったスーツでヒーローショーやオリジナルドラマの撮影をやってみたいし、怪獣の着ぐるみも作りたい。とは思うのですが、もうこれ以上やるのは無理だね、と判断してしまう程度には、大きなグループ制作には向かない集まりだというのは悲しいけれど事実です。

そういった過去の出来事もあり、こうして部誌が完成し、無事皆様にお届けすることができ、感想をいただけている今、「やっとできた...!」という感動で胸がいっぱいです。
3年目にして、ようやく「自分達に合った」活動を見つけられることができました。

◆流星キックの今後

学業のかたわらで、また人によってはアルバイトもしながらの活動になるので、月刊でやっていくのは難しいと思われます。
しかし次号の企画も既に考えておりますし、これ以上自分達にぴったりの活動もないので、勿論これからも続けていきます。
おそらく1〜3ヶ月に1度の不定期刊行になり、更に学祭では装丁や本文がちょっぴり豪華の特別号を販売したいです。

あとは、フチなし印刷ができていない、表紙のレイアウトがバランス悪い、特集のページが少ない...等々、反省点も相当あるので、それを改善するのが何よりも先ですね。

また、近日中に県外の方のための郵送を10部限定で無料で受け付けます。その際はサークルのTwitterアカウント(@tuad10932)でフォームを公開します。
更にその後はネット上に全ページを無料公開する予定ですので、もっと多くの方に読んでいただきたいですね。

次号以降も県内では無料配布をしますが、外部の方へは100円程度で販売に変えるつもりです。
本当はすべての方に平等に楽しんでいただきたいのですが、部費もおりない団体なのでなかなか難しく...。

少々不謹慎かもしれませんが、自分達のキャパを上回る需要があって沢山の方に楽しみにしていただけているというのは、とても幸せな悩みです。
これからも応援してくださる皆様のご期待にそえるものを、そして自分達が作っていて楽しいものをお届けしていきたいです。

応援よろしくお願い致します。

テキスタイルとは、自己表現とは。学生展示「儀礼の布」を見て

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私の通う大学の図書館二階で昨日までやっていた、テキスタイルコース四年生の展示「儀礼の布」を見てきました。
→こちらの図書館ブログで、詳細と展示の様子を見ることができます。

私は美術科テキスタイルコースから文芸学科への転科にあたり、一学年下に下がって現在もう一度三年生をやっているので、今回展示をやった新四年生は本来私の同期です。
私はこの人達と一緒に入学して、少しの間だけ、かつて一緒にテキスタイルを勉強していました。

関連記事:たまには畑仕事もいいぞ。 - 総天然色日記

こういうことを言ってしまうと身内褒めみたいで、私が身内褒めみたいなことを言うことによってまた彼らの価値を下げてしまうんじゃないか、と思ってしまうのでなかなか言いづらいのですが、この展示は最高でした。
この展示、そして彼らの制作活動の素晴らしさを正確に人に伝えるために、身内であることを悔しく思ったくらいです(私は嘘や隠し事がとても苦手なのでうまく伏せることもできず)。

今回の展示は、
自分の人生の中での節目、儀式である「ハレ(=非日常)」をデジタルプリントと伝統的な染めの技法(型染め、絞り染め、ろうけつ染めなど)を組み合わせて表現するという、テキスタイルの中でも"染め"の分野に特化した課題「儀礼の布」と、
織り機を使って縦糸と緯糸(よこいと)を交差させ布を織り、その織り上がったストライプ模様で自己表現をするという"織り"に特化した課題である「ストライプ・ストーリー」
の二種類の作品を展示していました。

「地球上で、縦と横に交差する経線・緯線の経・緯という字にはそれぞれ、"糸"という字が入っている。だから、私たちのいるこの地球そのものがテキスタイルなんです」
という、入学してすぐのガイダンスで、辻けい先生がおっしゃった言葉が懐かしいです。

新四年生のみんなは、三年前の入学当初はハッキリ言って、よくいろんな人に「真面目だね」と言われる私(自分では全くそう思っていない)ですら、本気で引くくらい真面目な性格でした。
後になって、同じ大学でも他の学科はサボりまくったり課題も適当だったり、男女関係にだらしなかったり、連絡返さなかったり、未成年の飲酒喫煙は当たり前だったり必修の単位落としたり、すべてにおいて無気力だったり...なんてのは別に驚く話ではない(もちろんそうじゃない人も多い)ということを知って、ギャップに本気で驚いたくらいです。
出会ったばかりの頃の彼らは、その真面目さが逆に災いして固定概念にとらわれて上手くいかなかったり、自分を苦しめていたり...ということもあったように記憶しています。

しかし、その真面目さ、素直さによってテキスタイルコースで学ぶべきことをほとんど零さず正面から学び、それによって「真面目である」という自分達の性質を良いものに変化させ、うまく付き合うことができるようになったのではないでしょうか。
今回の展示は、そう感じさせるような作品であり、空間ができていました。

勿論、そのようなごく一部の身内しか知らないバックグラウンドを抜きにしても、誰が見ても完成度の高い展示でした。
元々課題のコンセプトがハッキリしているのもあり、その上に乗せられた各々の想いが真っ直ぐで、心のこもったもので、更に仕事が丁寧で自分らの学んだ技術をきちんと使いこなしていたため、芸術作品による自己表現をしっかりと成し遂げていました。

また、学科の展示として本来当然のことなのですが、多くの人が抱く「テキスタイルって何をやる専攻なの?」「テキスタイルってどういう意味?」という疑問に対する答えがこの展示に来るだけでわかる、というのも素晴らしいです。

テキスタイルコースは元々は工芸コースの専攻の一部であり、現在もひと学年が10人前後と少人数制で、更に辻けい先生の指導体制がとてもしっかりとしていてテーマがブレていない、そして何より今の四年生の学年は、良い意味で真面目な人ばかり という要素が積み重なったために、このような完成度の高い展示となったのだと思います。

これだけ制作に対して当然のように誠実な態度でいることができて、何事にも一生懸命な彼らなら、絶対にこれからは幸せな人生が送れるはずです。
おそらく次の大きなイベントは卒業制作だと思うので、さみしいですが楽しみです。
あと少しの大学生活、自分の今までの四年間は精一杯やり切った、と心から思えるような作品が、このメンバーなら絶対に作れるはずだ、と今となっては外野の私は思います。
今回の展示を見ることができなかった皆さん、来年二月の卒展は、ぜひテキスタイルコースの展示も見てください。

私は残念ながら美術という媒体そのものが自分との相性が合わないと判断したために、本当に自分のやりたいことである文芸学科へ転科しましたが、この東北芸術工科大学のテキスタイルコースという場は自己表現を学ぶ上でとても素晴らしいところだ、という認識は変わりません。
逆にそういった場だからこそ、私は本当に自分に向いていること、やるべきことに気付いて、行動に移すことができたのだと思っています。
二年間だけでも、彼らと一緒にこの場でテキスタイルを学ぶことができたことを、誇りに思います。

本多猪四郎監督の故郷にゴジラ現る!「ゴジラと特撮美術の世界展」

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久しぶりの更新です。

今回は7月16日より山形県鶴岡市にて開催中の「ゴジラと特撮美術の世界展」の感想を書かせていただきます。

記事の一部に、現在公開中の映画「シン・ゴジラ」のネタバレが含まれていますので、ご注意ください!

***

この展示、実は山形市民なら誰もが知っていると言っても過言ではないフリーペーパー「やまがたコミュニティ新聞」通称「やまコミ」7月22日号の一面を飾っていました。





いつもならポストにぶち込まれているのを見てほとんど内容も確認せずそのまま捨ててしまうのですが、今回ばかりは貴重な資料として永久保存版となってしまいました...

また、同じく「やまコミ」8月12日号には、「シン・ゴジラ」劇中に登場するコンクリートポンプ車についての記述が!

注)以下の画像内の文章には「シン・ゴジラ」クライマックスのネタバレがあります



ヤシオリ作戦で新幹線爆弾・無人在来線爆弾・爆破されるビルとともに我々の心をかっさらっていった、あのポンプ車、山形市の企業である「ヤマコン」さんが貸し出したものだったそうです。

で、「シン・ゴジラ」公開1週間前に発行された、7月22日号一面をよく見ると、「ゴジラと特撮美術の世界展」一面記事の隣にはヤマコンさんの広告が...!



これは偶然だったのか、それとも...

***

と、いうことで以下、展示の感想など。

◆展示概要

「ゴジラと特撮美術の世界展」 2016年7月16日(土)-8月21日(日) 9:00~17:30(金・土は18:30まで)
一般500円/高大生300円/中学生以下無料
公式サイトはこちら

◆会場までのアクセス



私は山形市に住んでいるのですが、車を持っていないので、同じ県内でも鶴岡市は行くのが少し大変でした!
公共交通機関では、移動時間・費用・乗り換え回数ともに、バス移動が一番良い手段です。
高速バスを使って山形市から鶴岡市に入り、市バスで会場まで移動しました。

山交バス 山形〜鶴岡・酒田線 時刻表
こちらが料金・時刻ともに大変見やすいです。

市バスについては、以下「鶴岡アートフォーラム」公式サイトより引用。

JR鶴岡駅より「鶴岡市内廻り 2コース」「鶴岡市内廻り 4コース」「湯野浜温泉」「あつみ温泉」「油戸」行きのいずれかに乗車→ 「アートフォーラム前」または「市役所前」、「致道博物館」下車 〔所要時間 約10分〕
庄内交通 路線バス時刻表はこちら

会場である鶴岡アートフォーラムの近くには致道博物館もあるので、刀剣など興味のある方はこちらも寄ってみると良いかもしれません。



会場に入ると、入口からチケットカウンターまでの順路を示すゴジラの足跡が! ゴジラの展示なのにダダみたいな格好で来てしまったことにこのとき初めて気がつきました。

◆目玉はやっぱりジオラマ展示!



会場内は基本的に撮影禁止ですが、映画「ゴジラxメカゴジラ」(2002)の撮影に使われたゴジラの着ぐるみ、通称「機龍ゴジラスーツ」のジオラマ展示スペースは撮影OKです。 私は思う存分撮影するために、スマホ用のマイクロSDを購入して行きました。



ちなみに、周りに展示されているパネルでは、「ゴジラ FINAL WARS」(2004)劇中の各特撮パートのメイキングが紹介されています。

このジオラマ展示で面白かったのは、来場者の層によって撮影方法が全く異なっていたことです。
親子連れの方は観光地の記念撮影的な感じで、スマホを目線に掲げて正面からシャッターを切っていました。
一方で私たちのようなオタクは、ほとんどの人が巨大感のある画を撮るために、盗撮みたいな位置にスマホを持ちながらジオラマの周りを何周もグルグルと周り、ゴリゴリのローアングルで連写していたのです。

私は以前、NHKの「探検バクモン」円谷プロ特集回で紹介されたウルトラマンギンガSの撮影現場の様子で、巨大特撮を撮る際は、ミニチュアセットを高い台の上に組むということを知りました。そうすることによりカメラの目線が下になり、巨大感のある構図を撮ることができる!というわけです。
TVで知った撮影方法を自分も実践できたことにかなりワクワクしてしまいました。

ということで以下、映画っぽく撮れたかな〜と思う写真をいくつか載せます。







...そうなんです、特撮っぽく撮ろうとすると、ゴジラの顔が全然映らないんですよね! まあ自分の技術にも問題がありますね。またこのような展示で怪獣を撮る時のために、スマホで撮れる限りの撮影技術を上げたいです。

◆怪獣絵師・開田裕治先生のサイン会に参加



今回の目玉その2、この展示にも多数作品を出されている、開田裕治先生のサイン会の参加権を得ることができました。
開田先生の展示は何度か行ったことがあり、今までもサイン会に参加する機会もあったのですが、ちょっとしたニアミスで実は一度も行ったことがなかったので、今回初の参加となりました。
今回はキャラクター指定なし、全員初代ゴジラのイラストで統一というルールでしたが、開田先生に初代ゴジラを描いていただけるなんて一番いいじゃないですか...!

開田裕治先生の手によって、目の前で初代ゴジラが描かれていく感動!動画の撮影と掲載は先生の許可を頂いております。 pic.twitter.com/lfUEKbpKmN

— ろ紙 (@Ro_si3) 2016年7月17日
先生はサービス精神が大変素晴らしい方で、サイン中の写真や動画の撮影、またインターネット上での公開は全てOK、サイン後のツーショットも希望があれば引き受けていただき、また他にもグッズや書籍など持参したものがあればサインしてくださるという、まさに神対応。
初めてサイン色紙を描いてくださったのが開田先生で本当によかったです!

◆シン・ゴジラの制作資料も

この展示がスタートしたのも、私が足を運んだのもシン・ゴジラ公開前だったのですが、なんとひっそりとシン・ゴジラの制作資料が公開されていました。これは図録にも載っていないですし、勿論撮影禁止なので目に焼き付けるしかありません。
ゴジラシリーズ含め、長年特撮作品の美術を担当されている三池敏夫さんによる、特撮パートのイメージスケッチのようなものが何点かありました。
ミニチュアのビルの壊し方や、熱線の表現は「巨神兵東京に現る」制作時に新たに生み出した手法を使っていたんじゃないかな、と思います。

この展示にこれから行かれる方でシン・ゴジラ未見の方はまずいないと思うのですが、やはりシン・ゴジラを観てから展示に行き、その後記憶が鮮明に残っている状態でまたシン・ゴジラを観に行くのが一番いいかと思われます!

◆展示図録収録漫画「ゴジラ狂時代」

今回購入した展示図録には、西川伸司先生による漫画「ゴジラ狂時代」「ミレニアム創世記」「メカゴジラ狂時代」の三本が収録されています。
漫画家としてご活躍されている一方で、「ゴジラvsビオランテ」(1989)以降、デザイナーや絵コンテとして特撮作品に参加されている西川先生目線によるドキュメンタリー漫画です。

私はこれを読んで、ゴジラシリーズの作品ひとつひとつが良いものを作ろうという現場の人達の愛と努力の結晶であるということを改めて知りました。
漫画全体は、ややコミカルに明るい雰囲気で描かれているのですが、その端々に当時の関係者の皆さんの仕事への真摯な思いが滲み出ていて、どのコマを読んでいても涙ぐんでしまいます。
特に、ミレニアムシリーズの数作品でゴジラのスーツアクターを担当されていた、喜多川務さんの語る撮影へのプレッシャーや演技のこだわりには胸を打たれました。

元は少年誌に掲載されていた漫画ということもあり、読者にわかりやすい表現に置き換えたり、漫画では描かれていない部分も現場には沢山あったとは思います。
しかし、作品に携わる全ての人が必死で働いて、そうやってシリーズの歴史が紡がれているということを、この先生の漫画から改めて教えていただきました。


◆展示全体の感想

今回の展示は、個人的に「楽しい」というよりも、じわじわと感動が心の中からにじみ出してきて、感慨深い気持ちになる...そういった内容でした。
勿論、開田先生のサイン会や、ジオラマ展示の撮影、また各作品のメイキング資料なんかはとてもワクワクして、楽しい気持ちになったのは事実ですが、やはりそれだけで終わらないのがこの展示です。

私が行ったのは展示開始二日目ということもあってか、客入りはそこそこあり、親子連れも珍しくはありませんでした。
てっきり、ゴジラシリーズはもう自分のようなマニアや、小さいときにゴジラを見た記憶のある人しかほとんど興味をもたないコンテンツで、今の時代の子どもたちは知らない子も多いんじゃないか、と思っていたので、これは意外でした。
お父さんがかつて怪獣少年だったのか、それともお子さんのほうからゴジラに興味をもったのか。その子は、シン・ゴジラのことを知っているのか。あのポスターを見ても、映画館に行きたいと言うのか、言ったのか...。
シン・ゴジラが公開され、これだけ日本中でヒットしている中、こう言うのは尚更なのですが、私が悲観していたよりもずっと、ゴジラは今でも多くの人に愛されている存在で、きちんとそれは次の世代にも受け継がれているようです。

展示室に入ると、生頼範義先生による平成ゴジラシリーズのポスターイラストが目に入ります。
公開当時、ゴジラには微塵も興味がなかったためにポスターを見た記憶すらない私にとっても、生頼先生のイラストには当時の時代そのもの、そしてゴジラシリーズが子ども達に与えていた夢が全て詰まっているように見えます。
それを見て、「ゴジラって、ずっとこういう存在だったんだな。沢山の人に大切にされてきたんだ」ということを改めて感じました。

また同じ会場で、この鶴岡市で生まれ、多くの東宝特撮作品を手がけた、故・本多猪四郎監督にフィーチャーした企画展時をやっていたというのも大きいです。
特撮系の展示、あるいはそういった話題で、特技監督である円谷英二監督に比べて触れられる機会がやや少ないように感じられる本多監督ですが、改めて彼の映像制作への想い、そして根底にある戦争体験を知るという意味で今回の展示は重要でした。

あと数日で展示期間は終わってしまいますが、シン・ゴジラで初めてゴジラシリーズに興味を持った人にも、往年のファンの方にも見ていただきたい内容です。

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